【県議会】防災対策を問う「啓発」「液状化」「アーカイプ」

 本日のブログは、私の一般質問の第二弾として、「危機に備える防災対策について」の質問を掲載します。
 この項は、まず、津波防災の啓発と液状化対策、アーカイブ事業への取り組みの三つの質問からなっています。
 
 具体的な成果としては、大震災の記録を残すアーカイブ事業に取り組むことへの回答がありました。
 津波防災の啓発は、地域防災計画の中で実行されるとの事。国では、環境省のホームページに詳細が掲載されていますので参考にして下さい。
 液状化については、防災対策の中で回答したいとの事でしたが、防災対策として生活環境部とするのでなく、国交省管轄としてどうしても土木部で回答するように求めての結果です。その意味からは、液状化も各部横断的な事案であり、総括的に対応することが難しいかったということになります。
 役所というところは、やはり横串に弱いところで、縦の関係で指示されれば強さを発揮することが分かる質問になりました。
 では、以下をご覧ください。
 2.危機に備える防災対策について
(1)津波防災の啓発
 次に、危機に備える防災対策についてお伺い致します。
 まず、津波防災の啓発についてであります。
 県は過日、地域防災計画改定の方針を発表し、見直しに際しては、津波被害にあった沿岸部で約2,000世帯、市町村ごとに100~300世帯など合計15,000世帯に対して避難行動や避難生活の問題点を、面接や聴き取り等を実施して、県地域防災計画に反映すると発表しました。
 災害はまさに現場にあります。地域の被災現場に謙虚に学ぶことが真に実効性のある防災計画の肝要であると考えます。そして、防災対策は、住民に周知徹底されてこそ意義があります。
 東日本大震災後の6月24日に施行された「津波対策の推進に関する法律」によれば,「津波は迅速かつ適切な行動をとることにより,人命に対する被害を相当程度軽減することができる」とされており,「津波及び津波による被害の特性,津波に備える必要性等に関する国民の理解と関心を高めることが特に重要である」と明記されております。
 そこで、今回、津波による被害が甚大であったことを踏まえ、県としても、住民に対する津波防災意識の啓発を実施していく必要があると考えますが、生活環境部長にご所見をお伺い致します。
宮本生活環境部長
 津波防災の啓発についてお答えします。
 東日本大震災において、マグニチュード9.0という日本における観測史上最大規模の地震により、全国で死者・行方不明者が約2万人に及んだところであります。
 特に、東北3県における死者の約9割が津波によるものであり、本県においても、死者・行方不明者7名、住宅約2,600棟に被害が発生しており、広域にわたり、甚大な被害を及ぼす津波の防災対策の重要性を再認識したところであります。
 今回のような大津波は、現在の防潮堤や防波堤では防ぎきれないことから、「まず避難する」という津波に関する基本的な認識を啓発していくことが大変重要と考えております。
 現在、県では、市町村と連携し、東日本大震災における津波への対応状況についての検証を進めるとともに、沿岸地域の住民などを対象として、津波避難に関する意識や行動についてアンケート調査を実施しております。
 また、地域防災計画の改定のために設置した、専門家や防災関係者等からなる「地震・津波対策検討部会」において、避難指示・勧告など津波情報の伝達や災害時要援護者を含む住民の避難など、津波対策についての検討を進めております。
 今後、こうした検証・検討結果を踏まえ、学校、職場、自治会、町内会等様々な場所で、津波防災の研修会や避難訓練などが実施されるよう市町村などに働きかけるとともに、防災講演会の開催や津波防災に関するパンフレット等の作成・配布など、住民の方にわかりやすい形で津波防災の啓発を実施してまいります。
  (2)液状化対策
  
 次に、液状化対策についてお伺い致します。
 今回の震災では液状化被害も大規模広範囲に県内36市町村で発生しました。それは甚大な被害であり、私も潮来市日の出地区に赴き、傾く住宅、そして電柱、せり上がるマンホール、吹き出した砂を目の当たりにして参りました。住民の皆さんから発せられた「私たちは、これからもここに住み続けられるのか」との悲痛な声が今も耳を離れません。さらに、県民の生活を支える道路や河川、港湾施設などの公共施設も甚大な被害を受けたところです。
 この液状化の危険度予測は、当該地盤の液状化に対する抵抗力と地震力の強さを比較して液状化抵抗率を求めるFL法により、判断できるようになりました。
 残念ながら液状化は、居住資産の資産性を棄損する場合もあるかもしれませんし、市町村にとっては固定資産税の見直しに繋がるかもしれません。
 既に国土交通省関東地方整備局と公益社団法人地盤工学会は、「関東地方の地盤液状化現象の実態解明」で液状化地域の位置と実態を公表しております。関東近県で見ますと東京・千葉・埼玉・神奈川では、液状化マップをホームページで公開しております。
 また、液状化対策も種々論じられ研究成果も発表されています。
そこで、これらの状況を踏まえ、県民生活に直結する重要なライフラインである土木公共施設などへの液状化対策について土木部長のご所見をお伺い致します。
後藤土木部長
 液状化対策についてお答えします。
 東日本大震災におきましては、県内の広範囲で液状化が発生し、これにより道路、河川、港湾、下水道、県営住宅など産業活動や県民生活に直結する公共土木施設をはじめ、個人住宅などについても全半壊が5千棟を超えるなど甚大な被害をもたらしたところであります。
 液状化被害につきましては、昭和39年の新潟地震以来、これまでの大地震に伴い度々発生し、その都度核施設の対策も強化されてきたところでありますが、今回改めて液状化対策の重要性を認識したところであります。
 液状化被害の発生しやすい箇所といたしましては、埋立による新しい造成地など地下水位が高く緩い砂地盤であることが多く、地震動によって水と砂が泥水化することにより液状化が生じるものであります。
 このようなことから、例えば、潮来市日の出地区の県営住宅におきましては、液状化の初期段階で発生する土中の過剰な水圧を分散させるため、地中深く円柱状に砕石を埋め込むなどの地盤改良を実施することとしております。
 一方、国におきましては、「東日本大震災からの復興の基本方針」のなかで、より安全でかつ低コストで行える液状化対策の技術開発を進めるとともに、道路・下水道等の公共施設と隣接宅地等との一体的な再発防止策を検討することとしているところであります。
 県といたしましては、国による技術開発の動向を踏まえながら、公共土木施設について必要な液状化対策を検討するとともに、個人住宅などへの液状化対策につきましては、市町村と連携し、ケンコー民への情報提供を図ってまいります。
(3)アーカイブ事業への取り組み
 次に、危機管理の真実を残すアーカイブ事業の実施についてお伺いします。
防災計画策定の骨子には、今まで以上の地震地歴の研究の知見を応用すべきです。実は「マグニチュード9クラスの地震発生は予想されていた」と言うことが今回最も残念な事です。 
 原発の耐震安全性を検討する作業部会の主査であった地震学者は、2009年6月に「西暦869年の貞観地震を考慮すべき」との意見があったと述べ、地震学は実験ができない制約の多い学問であることから、「古文書や津波堆積物を含む地質学的な調査などの過去の地震の把握に注力すべきです」と話しています。
 まさに過去は未来を拓く鍵であります。歴史に学ぶべきであります。その意味からも、県として3月11日午後2時46分以降の、県庁、県警、学校などの災害対応について詳細に記録することが必要です。記憶は忘れられ、記録は時と共に散逸してしまいます。
 事実の積み重ねを、良し悪しや成否を問わずに歴史に刻印することが、未来への碑であると考えます。県として是非とも東日本大震災茨城県アーカイブ事業を創設されることを提案致します。
 「歴史に学び、歴史に残す」ことは今を生きる私たちの責務であります。そこで、県主体のアーカイブ事業に対する生活環境部長のご所見をお伺い致します。
宮本生活環境部長
 次に、アーカイブ事業についてお答えします。
 今回の東日本大震災により、本県でも18万棟を超える住宅被害を始め、公共施設やライフライン施設などに甚大な被害が発生いたしました。
 議員ご指摘のとおり、今回の震災を貴重な体験として捉え、対応状況等について詳細に整理し、しっかりと記録を残すことは大変に重要であると認識しております。
 このため、県や市町村、防災関係機関等における災害対応状況等を収集し、初動対応や悪球等の取り組みを時系列に整理するなどして、東日本大震災の記録をとりまとめていきたいと考えております。
 県といたしましては、このアーカイブ事業に取り組むことにより、東日本大震災による本県の被害とその状況等を後世に正確に伝えるとともに、今後の防災対策や防災教育に役立てていきたいと考えております。