県議会一般質問の第4章ともいえる「霞ヶ浦水質浄化」についての質問と執行部答弁を以下に掲載します。
来年から実施される第6期湖沼水質保全計画については、西浦と北浦を分離した目標設定や、生活排水と農畜産業対策をはっきり切り分けた回答と評価しますが、施策の実効に対する確信性に欠くことで全体として弱い表現だなと思います。
私は、国の浚渫について触れましたが、これはゼロ回答とし、聞いていない霞ヶ浦導水事業に触れるなど、国に対するアプローチは決定権がないだけに苦しい感じです。しかし、浚渫という国の直轄事業は、いわゆる県の裏負担もあるわけで、もう少し踏み込んで、県単独施策の有無程度に触れて頂ければ満点な回答だと思います。
霞ヶ浦の放射性物質モニタリングを第6期湖沼水質保全計画に位置付ける件は、環境省に確実に交渉して欲しいと思います。このような計画が時代の流れに即して、霞ヶ浦をトータルに捉えられなければ何の意味もありません。一過性の答弁でないことを確認すべく何度でも質問したいと思います。
さて、下記が全文です。
4.霞ヶ浦対策について
(1)霞ヶ浦の水質改善ビジョン
次に、霞ヶ浦対策についてお伺いします。まず、霞ヶ浦の水質改善ビジョンについてであります。
「泳げる霞ケ浦」「遊べる河川」は、私が産湯として浸かりました霞ヶ浦の湖沼水質保全計画の長期ビジョンと伺っています。今は、「かつては泳げたんだったね霞ヶ浦」が現実です。「もう泳ぐことは無理かな」と悲観的な声が聞こえます。
霞ヶ浦の湖畔の一軒家、今もレンコンの専業農家の我が家は、霞ヶ浦の変遷を目の当たりにして参りました。昭和40年当時は、プールのない我が上大津東小学校の授業は、霞ヶ浦湖畔に飛び込み台やブランコを作って行われました。友とふざけて溺れる思いをして、したたかに飲んだ霞ヶ浦の水そのものを懐かしく思います。何の不安もありませんでした。水泳の後父兄の用意して下さった砂糖入りの温かく甘い麦茶を忘れることができません。
さて、霞ヶ浦の水質はCОDで見ると、流入河川は一部改善しているものの、湖内のCОDは悪化するという不可解な状況にあります。
霞ヶ浦環境科学センターでは、「湖水の白濁現象の解消により透明度が改善、太陽光が差し込みやすくなり、今度は光合成により植物プラントンの増殖を招いた」と説明しています。
また、この夏は、「アオコ」が異常繁殖し、水面に上昇、沈降できないままに、太陽光の紫外線で死滅しては腐敗、異臭を放ちました。一方の改善が負の連鎖になる複雑な循環にあります。アオコは、ラン藻類の植物プランクトンであり、水温上昇と何よりも富栄養化原因である窒素とリンの増加が原因です。
第5期霞ヶ浦湖沼水質保全計画は、残念ながらCOD・窒素・リンの各指標とも全水域年間平均では目標未達です。また、西浦と北浦では汚濁のメカニズムが違うとの分析もあるようです。
また、霞ヶ浦の底泥には、汚濁物質である窒素・リンが蓄積しております。よって、底泥の浚渫は、直接的な汚濁原因物質の削減に他なりません。国は、今年度末までに底泥の5分の1にあたる約800万㎥を浚渫除去し、土地改良干拓事業に再利用しております。国は浚渫事業の打ち切りを想定しているようですが、是非とも継続して底泥の相当量を除去して頂きたいと考えます。
そこで、負の連鎖を断ち切り、数多くの水質汚濁原因の中から、今もっとも取り組むべき課題に鋭く切り込む、霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画第6期の基本的方向性について生活環境部長のご所見をお伺い致します。
宮本生活環境部長
次に、霞ヶ浦対策についてお答えいたします。
まず、霞ヶ浦の水質改善ビジョンについてでございます。
霞ヶ浦におきましては、植物プランクンの栄養源である窒素・りんの濃度が依然として高いことかが、CODが改善しない大きな要因でありますので、第6期湖沼水質保全計画におきましては、窒素・りんの負荷割合の大きい生活排水や農地・畜産からの負荷削減対策を実施してまいります。
特に、りんの負荷割合が大きい生活排水対策につきましては、下水道処理施設において、新たなりん除去技術の導入を図るとともに、単独処理浄化漕から高度処理型浄化槽への転換を大幅に増やすことなどにより、流域人口約100万人の内、約30万人いる生活排水未処理人口を、約10万人減らすなど、対策を強化してまいります。
また、窒素の負荷割合の大きい農地・畜産対策につきましては、環境にやさしい営農活動に取り組む農業者の栽培面積や、家畜排せつ物の農地以外での利用を拡大するなど、対策を強化してまいります。
さらに、生活排水未処理率が西浦は約3割であるのに対し、北浦は約5割と高いこと、また、北浦流域では農業や畜産業が盛んであり、負荷割合が高いことなど、西浦と北浦では、汚濁の要因が異なっております。
このため、次期計画では新しい方針として、施策目標を西浦と北浦に分けて設定するとともに、汚濁負荷が大きい河川ごとに汚濁要因を明らかにし、その要因に応じた対策を重点的に進めてまいります。
併せて、霞ヶ浦の管理者である国に対しまして、霞ヶ浦導水事業の早期完成や13年ぶりに大発生したアオコの対策など、抜本的な湖内の水質浄化対策を早急に実施するよう強く要望してまいります。
県といたしましては、国や市町村、流域住民と一体となって、汚濁負荷の一層の削減を図り、霞ヶ浦の水質浄化に全力で取組んでまいります。
(2)放射性物質モニタリング調査の強化
次に、霞ヶ浦の放射性物質モニタリング調査の強化についてお伺いします。
流域住民の最大の懸念は、霞ヶ浦の放射能汚染であります。それは、セシウム等の放射性物質の流れ行く先は、霞ヶ浦に他ならないという素朴な心配であり、妥当な論理です。
霞ヶ浦の放射性物質モニタリング調査は、現在、湖心部の1地点で湖水と湖底土について行われておりますが、この調査地点を大幅に増加すると共に、流入河川の河口などにも拡大すべきであります。また霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画第6期にも、本モニタリング調査を明確に位置づけるべきと考えます。
そこで霞ヶ浦の放射性物質モニタリング調査の強化について生活環境部長のご所見をお伺い致します。
宮本生活環境部長
次に、霞ヶ浦の放射性物質モニタリング調査の強化についてでございます。
霞ヶ浦の放射性物質につきましては、県が6月に調査した結果、湖水は不検出であり、湖底土はセシウムが検出されましたが、水稲作付の制限の必要ないとされた本県の農用地における土壌と、同程度でございました。
また、環境省においては、環境中に広範囲に放射性物質が放出されていることから、汚染の実態を把握するため、本県や福島県など五つの県で、河川、湖沼、沿岸域を対象に、詳細なモニタリング調査を実施しております。
本県内では、128地点を対象に、8月下旬から調査が開始され、霞ヶ浦では、流入する河川24地点、湖内8地点におきまして、湖水及び湖底土等の放射性物質を定期的に調査することとなっております。
議員ご指摘の湖沼水質保全計画にモニタリング調査を位置づけることにつきましては、この計画はCODなどの水質環境基準の確保を目的として策定することとされ、課題がありますことから、この取扱については、今後、環境省と協議してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、霞ヶ浦の放射性物質モニタリング調査につきましては、国と連携し、今後とも継続して実施してまいります。