今定例会(茨城県平成23年第4回)の東日本大震災復興基金を使用する「被災住宅復興支援事業(利子補給)」があります。これは、土木部都市局住宅課が担当する新規事業で、予算額32,390千円を計上しています。
この事業は、①被災者生活再建支援金制度を補完する目的です。つまり、支援金の受給対象とならない半壊・一部損壊の被災者を対象とするということ。(全壊や大規模半壊は支援金があるので本利子補給対象外)
②被災者が金融機関から借入金を利用して自己用住宅の復旧(含む補修)をする場合の借入利子負担の軽減を図る目的。ここのポイントは、「自己用住宅」ですから、当然事業要のアパート等は含みません。
③利子補給期間は、5年間。(新規受付期間は3年間)利子補給率は1%。利子補給対象融資限度額は、640万円。但し、液状化対策工事や擁壁復旧工事等を伴う場合は、1,030万円まで対象とする。
④当然ながら、複数年事業であり、利子補給総額は、約24億円を想定。
⑤事業主体は、市町村。つまり、今県議会で採決し決定しても、市町村の議案となるのは来年第1回定例会となるので、県として事業決定の告知はするが、市町村では事業決定は遅延し、来年度からになると想像する。
以上の事業概要ですが、多くの課題があります。
①ローンが借入できなければ、利子補給もなく利用できない。ローンが借入難しい人とは、高齢者や既にローン借入がある方などであり、生活弱者に対する支援制度とは言い難い。本来は、直接給付が理想です。
②そもそもリフォームローンは、居宅の補修等を想定しており、敷地や擁壁に対する借入は銀行が対応するかか分からない。本来であれば、国が借入制度を作るべきではないか。
③事務が煩雑だと感じる。例えば、゜利子補給は、申請をまずして、年末に一年分の支払利子の明細を提出し、その翌年に振り込まれる」では、本予算の実支出は平成25年となり、如何にもスピードに欠ける。利子補給額がそれなりに予想できるなら、新生児に利子相当額を直接給付(助成)した方が給付効果もあり効率的。
④土木部住宅課が対応しているが、これでは当然のごとく「住宅ありき」になる。本来の災害支援の補完なのか、狭義の住宅補修なのか、位置付けを再考すべきではないか。要は、公金を「私」にどこまで給付できるかの問題だ。
⑤すでに利子補給をしている市町村は、利子補給を併用するのだろうか、それとも切り替えで市町村事業を廃止するのだろうか。ここの指導が必要である。大体1%k判定は難しいと思う。元利均等返済をどう解釈するのしら。
色々と課題があります。「全壊と大規模半壊」、「半壊と一部損壊」の生活再建支援制度の差を埋めることは難しい。財源も違いますし、何よりも対象数が大きな差異であり、金額の問題となるからです。
それでも、最も必要としている所に、必要なお金が回るべきだと訴えたと考えます。