個人版私的整理ガイドラインにおける個人を対象とした私的整理指針の見直しが発表されました。
その内容は、
①私的整理を適用する際に、手元に残せる現預金の上限を法定の「99万円」から「500万円」に引き上げました。
②地震保険によって受け取った保険金に対しても柔軟に対応するとして、ローン返済の回さなくても済むことを想定しています。
③また、既に実施されていますが、義援金や生活再建支援金は返済に回す必要はなく、今回は地震保険による家財部分も同様とすることとしました。
これらは、仙台地裁における自由財産拡張の認定が公表さけたことから、裁判所の事例に準拠して変更の発表になったものです。
本件により、個人の二重ローン対応が大きく前進することが期待されます。
二重ローン対策を厳格な破産事件と同様に対応するのは、震災被害という特殊性と、もともと破産状態でない方にも当てはめることへの無理があったと思います。
生活の再建は、震災前のレベル感で個々人が大きく違うものです。そして、二重ローン対策は、幅広く緩やかに対応するものであって、厳格にすれば震災前との生活感の乖離を広げるだけのものになるでしょう。
今回の見直しも、裁判所の事例に準拠していますが、本来ならば「一般社団法人個人版私的整理ガイドライン運営委員会」が、積極的に提案するべきではないでしょうか。問題意識があったから、相応のスピート感があり、裁判所事例を待っていたのかもしれません。しかし、本当はも地震被害による二重ローンの被災者との接点は同運営委員会にあるのですから、もっと素早く対応して欲しかったと思います。
いずれにしても、1月20日現在の債務整理開始申し出件数は、全体で102件にとどまります。茨城県は、たったの1件です。じょんびちゅうを加えても378件ですから、二重ローン対策の内実が問われていたと考えられます。
今回の自由財産である現金500万円により、被災者の皆さんの再出発が、少しのゆとりの上にありますことを願います。