【政権交代】比例80減の前に、小選挙区30減が現行制度の精神だ。順番を間違えてはいけないと思う。

 今日の公明新聞のコラム「北斗七星」には、山口二郎北大教授の著書から、いったい民主党とは何だった(過去形・八島記) かを解明かしています。
 つまり、民主党の持つ生業が、「非自民党が小選挙区で生き残るための方便」に発するからだというものです。小選挙区選挙は、最大50%未満の死に票をもって成立する政権交代のみを目指す制度です。
 ですから、現行制度も比例区をもって極端な政権の形と偏りの緩衝体にしたとも言えます。つまり、小選挙区3対比例区2という配分は、その意味を持つために一体的に選挙制度を決定づけるものです。
 現在の比例区20減は、小選挙区30減とセットでなければ、制度設計の原点に帰れません。現在は、小選挙区改定に定数減のボールはあるということです。
 その意味からも、「比例定数80減」は余りにも極端な歴史と議論を顧みない言辞であると考えます。
 小選挙区による政権交代の姿をゆがめてしまった民主党。国民は、政権交代の果実を失ってしまいました。それは、日本における選挙制度や議員対する国民の信任の形に小選挙区制はなじまないとも言えましょう。
 穏健な多党制の中で議論を尽くすことが私たちには似合います。そして、こう言うと必ず出てくる「少数政党のキャスティングボード論」であり、公明党を揶揄する言葉です。
 政治は、権力闘争であるかもしれません。しかし、何のための政治であるかを常に問いかけ、政策の調整をしながら漸進的な歩の歩みが必要だと思います。
 いったい衆議院解散は、何時になるのでしょうか。混沌とした時間の経過がもどかしく感じられます。
 以下は、2/28付け公明深部の記事です。
 「北斗七星」
 ◆山口二郎・北大教授は民主党の政権交代を検証した著書『政権交代とは何だったのか』の中で民主党が国民の期待に応えられなかった理由として「『方便政党』という限界ゆえ」と指摘している。「民主党は非自民の政治家が小選挙区を生き残るためのいわば方便であった」と
 ◆小選挙区制は投票価値の不平等の最たる死票を生み、「民意の切り捨て」となるなどの弊害もある。1990年代の選挙制度改革の中でこれが採用されたのは、政権交代を可能とする二大政党への集約化を期待されてのこと
 ◆その集約化は3乗の法則(小選挙区制での二大政党の議席は得票率の3乗に比例する)で示されているように「勝者増幅効果」(山口教授)を持つ。つまり得票率と議席率の不均衡を大きくするわけだ
 ◆与野党協議の再開が求められている衆院の「1票の格差」是正をめぐっての選挙制度改革の焦点はこの小選挙区制がもたらす歪みであろう。期待された効果が山口教授の指摘のように果たせていないという観点からも
 
 ◆現行の並立制は、小選挙区制の前述の弊害を「民意の反映」機能を持つ比例代表で補うという制度設計。つまり比率自体も制度の根幹をなす。民主党の「比例代表80削減」案はこの比率のバランスをさらに崩し、制度の変質を招く。民主案は何をめざしてのものか。(皮)