国土交通省が22日に発表した、1月1日現在の地価公示価格は、東日本大震災の影響もあり、圏内調査地点693カ所のすべてで下落しました。
この下落も3年連続であり、2008年リーマン・ショックの影響から持ち直した下落率も、昨年は拡大したことから震災と原発事故の影響と考えられます。
私も、銀行員時代には、この地価公示とは別に「基準地標準価格」の参考意見を税務署宛てに提出した経験があります。銀行の考える価格は、売買価格を前提とした地域特性を加味するための時価を考慮したものです。それでも全体のトレンドの影響や、他金融機関からの報告も加味して決定されるものでした。
そして、この作業をしながら考えたことは、「これからはストックの時代なのか、フローの時代なのか」でした。また、バブルを経験した者として土地の価格=資産性を如何に適切に判断するかは大きな課題でした。実務的には担保としての価値が融資金額決定要因の一つだったからです。
しかし、土地等の資産が直接的に価値を生む時代は過ぎ去ったようにも思えます。逆に、限られた土地には今も多くの価値があります。また、かつてもてはやされた土地も時代とともに陳腐している場合も多く見られます。駅前や四つ角地の土地等も用途に大きな変化があります。つまり、土地の絶対性は大きく揺らいでいると思うのです。
然して土地等不動産などのストックの価値は下がり、キャッシュフローであるフローの回転の時代がやってきたと随分前から感じています。
それは、自分が居住しようする自宅敷地建物にも言えるかもしれません。この個人資産は、相続を前提にしているからです。いや、相続というより継承者の有無と言えるでしょう。後継者の有無、遠隔地に住む後継者、少子化、借金ある資産への相続拒否等が資産の行く末に立ちはだかっています。所有によるリスクは固定資産税となる場合もあるでしょう。
日本は、土地本位制と言われた時代がありました。資本主義の資本とは、土地だった時代がありました。そして、土地がバブルとなり、あるべき価値を混乱させました。企業のバランスを見れば固定資産の土地の簿価は含み損になっている場合が多いと思います。つまり、資産デフレが債務超過を起こしてます。
個人的には、土地の適切な流通に、経済の活性化を見出したいとも思っています。前段記載の悲観的な味方と矛盾しますが、土地の流通が時代の変化を如実に表していくことは間違いないと感じるからです。それにしても縮小した経済には縮小した土地流通しかないという悲しさを感じます。
地価公示を見ると経済の縮小を感じてしまうことが残念です。
そして、時代が格差を生じさせ、拡大する方向にあるとすれば、持てる資産とは何かを考え込んでしまいます。例えば、生活に困窮し生活保護に該当する人が、買い手ない土地を持っているために、毎日の生計に窮する現状を何とかしなければならないと思っています。この件は、また熟考したいと思います。