【メガソーラー発電事業】用地選定・開発条件・送電体制など、課題多い中で、政策価格を見極めなければならない。

 今月の常陽懇話会は、「大規模太陽光発電所開発事業について」と題して、ソーラーファーム㈱安井慎志社長の講演でした。
 同社長は、旧住友銀行で、支店・事業調査・ロンドン駐在を経て、ベンチャー企業のCFOを務めるなど、事業企画とファイナンスに長じた経験をもとに、メガソーラー事業会社を自ら立ち上げた実績があります。
 大規模太陽光発電は、出力1メガワット(MW・一般家庭約300戸分)を発電するものを指し、日本はかつて世界最先端を行っていたものの現在は、イタリア・ドイツの後塵を拝している現状です。
 メガソーラーの事業化の最大の課題は、売電価格である「固定価格買取制度」の水準に尽きます。この価格は、間もなく第三者調査委員会から発表されるとの事。想定としては、「40円/KW・20年」と言うことですが、この価格決定そのものが、太陽光発電事業化の鍵であり、今後の事業者や事業数の消長、収益性を決定づけます。
 そして、これらは、まさに「政策的な」「政治的な」者であり、国のエネルギー政策の根本になります。
 太陽光発電は、以前は「環境問題」、現在は「エネルギー問題」であり、東京電力の今後のあり方の中でも発送電分離政策が問われるものになりそうです。
 メガソーラー開発にかかるリスクは、
 ①用地選定の難しさからくるリスク、
 ②環境アセスメント・農転許可の中でも農振地区の取扱・遺跡の出土などの土地開発関連リスク、
 ③メガソーラー発電した電力を何処で送電線接続するかなどの電力会社系統連系にかかるリスク 
 
 以上があるようです。
 また、固定価格買取制度の今後の推移によっては、収益性に大きな課題をもたらすもので、政治的な動きの中で電力価格が決定する一要因になるかもしれません。その意味では、先行参入のメリットは大と考えられますが、今私たちが、゜平らな遊休地があるから太陽光発電に参入する」と言うほど簡単なものではなさそうです。
 講演された安井社長は、元銀行員らしく丁寧にメガソーラー事業のリスクを説明されました。しかし、開発事業社としては、メガソーラーのメリットや将来の発展性等の説明があっても良かったように思えます。
 私たちは、今東電の電気料金値上げに悲鳴を上げるような思いです。そこに原子力より高い価格のメガソーラーの参入は、一定の矛盾を乗り越えるような未来性あるメリットの追及があって国民の理解が必要です。
 私たちは、原発事故に対する太陽光発電と考えがちですが、太陽光や風力や水力や地熱などの電力装置の将来をもっと厳密に知り納得する必要があると教えられました。