【年金支給額】物価スライド。マクロ経済スライド。年金の信頼がなければ国民は生活の不安を抱える。

 高齢者の方の家をお邪魔してお話を伺うと、しばし年金の事が話題になります。
 今回は、①6月の年金額は、少なくなるとは本当か、その理由は何か、
 ②10月以降はもっと減額すると言うが本当か、とのお問い合わせがあります。
 
 ①平成24年度の年金支給額は、4月分(6月支払い分)から、0.3%引き下げられます。
 これは、総務省が発表した、23年平均の全国消費者物価指数が前年比で0.3%下落したことに伴う措置です。
 つまり、公的年金は、支給額に毎年の物価変動を反映させる「物価スライド」が適用されているためです。
 
 よって、毎月の支給額は、国民年金が1人につき前年度比200円減の6万5541円、厚生年金が標準的夫婦2人分で同708円減の23万940円となるものです。
 ところで、年金支給額の計算は、3通りの方法で計算をされています。
 平成6年基準、11年基準、16年基準の3つです。
 平成16年まで、年金制度は5年に1回、大きな見直しをすることとされ、年金支給額の計算も同様に見直されていました。
 この5年に1回のルールは平成16年でなくなりましたが、年金支給額については3つの計算式は残ったままの状態で、かつ、その中で一番高いものが支給されるようになっています。
 これを「丈比べ」と言うそうですが、実際の年金支給額は平成6年基準で計算したものが一番高い状態となっていますので、平成24年度においても平成6年基準が採用されます。
 なお、本来の法律に基づいた平成16年基準の年金支給額は物価、賃金、可処分所得などで変動するのに対し、特例による平成6年基準の年金支給額は物価スライドで変動するため、前年の物価が下がれば年金支給額も下がるということになります。
 つまり、デフレ時におけるマクロ経済スライドが適用されないということでしょうか。
 ②そして、平成24年度の年金支給額は、10月以降、さらに減額される可能性がでてきました。
 本来の年金支給額は平成16年基準で計算した年金支給額であるべきです。
 しかしながらこの額が低いため、実際には「特例水準」である平成6年基準で計算した年金支給額となっています。
 年金財政が潤沢であればともかく、現実には逼迫しています。逼迫していながらも、法律で定められた年金支給額ではなく、特例を設けて平成6年基準で計算した年金支給額を支給しているわけですから、当然のことながら逼迫の度合いは加速をしています。
 この特例は、国会でも取り上げられました。ここの対応は各党に差異があります。
 平成6年基準と平成16年基準の年金支給額の開きは2.5%。つまり、法律で規定されているよりも特例で2.5%嵩上げされた年金が支給されているわけです。
 受給者は嵩上げされているとなど考えてもいません。ここにも問題があると考えます。
 その特例水準を見直ししようというのです。
 但し、一気に2.5%の差を解消することは難しいので、今年の10月から3年かけて年金支給額を、たとえば年0.8%程度ずつ下げようと考えられているようです。
 年金受給額を再計算方式は、どうもデフレを想定していないと思われます。物価減少と年金支給額の減額を丁寧に説明することが必要だと思います。
 そのうえで、最も必要なのは、経済対策をしっかり取り組み景気上昇と雇用の促進を図ることです。この経済対策が弱点な民主党政権と言わざる負えないと思います。