【成年後見制度】制度理解と柔軟で厳格な運用、市町村の関与拡大も必要、そして人材育成。

 わが国は、4人に1人が65歳以上になりました。そのうち10人に1人が認知症、85歳以上では4人に1人です。障がい者の高齢化も進んでいます。
 そのため、訪問販売で高額な品物を買わされたり、銀行など金融機関の本人確認は事故防止のため厳格になって払い戻しができなかったり、預金の引き出しを近所の人に頼んだところ、金を詐取されたりする事件も発生しています。
 一人では契約などの法的行為をうまくできない人の意思表示や意思決定を、法的な権限を持ってサポートするのが「後見人」です。
 そして、「成年後見制度」は、身寄りがないなどの理由で、成年後見の申し立てができない場合は、市区町村長が、家庭裁判所に対して成年後見の申し立てをすることがでる規定がありきます。
 しかし、その数は、約3108件(2010年度)にとどまっています。
 成年後見の利用件数全体は約3万件が現状です。
 各国では人口の約1%を目安とされていることから計算すると、本来は102万人が対象となります。あまりに制度利用が遅れ、実態に即していないと言えます。
 政府は、すでに老人福祉法や介護保険法、障害者自立支援法に、成年後見などの取り組みを推進することを明文化しましたが、まだ、その実が伴いません。
 公明党は、「成年後見制度利用促進法検討ワーキングチーム」を立ち上げました。
 成年後見制度の普及には、市民後見人などの人材の育成が急務であり、制度運用に簡潔性と柔軟性を持ち、且つ利用者の生命と財産を厳格に保護する規定が必要です。
 政府は、高齢者や障がい者の権利擁護に取り組むべきです。
 それは、いつかは自らも成年後見制度利用者になるということを念頭において対応されてしかるべきと考えます。