【個人情報保護】いざというとき有用な名簿の存在。理解と配慮と責任の名簿条例を参考に。

 震災等の災害発災時の「共助」を成し遂げるための最大のツールは、「名簿」であることは異論のないところだと考えます。
 しかながら、個人情報保護法の施行に伴う過度な弊害とも言える「個人情報は何時いかなる時も開示しない過保護」や「名簿を作ること自体を禁止する極端な誤保護」などの事由により、地域のコミニュティが損なわれることもしばしであると思われます。
 そのなかでも、条例により適切な個人情報管理と最小限の開示を制定している自治体があります。
 条例の名称は「ふれあい安心名簿条例」といい大阪府箕面市の条例です。学級やクラブ、PTAなどの名簿作りを後押しするもので、箕面市が認証するという内容です。
 本条例制定のキッカケは、2009年新型インフルエンザが流行した際、学級連絡網がなかったため、休校の連絡が速やかに行き届かず混乱した事によります。
 背景には、個人情報保護法の施行に伴い、「個人情報は何でも保護」「名簿は作ってはいけない」といった同法への誤解や過剰反応から、名簿作成を控える状況があったものです。
 
 そこで市は災害時など、いざという時に必要とされる名簿の有用性を踏まえ、同条例で個人情報を保護しながら市民が安心して名簿を作成し、管理できる“仕組み”を定めました。
 具体的には、
 (1)利用目的などの「規約」がある
 (2)問い合わせなどに応じる「名簿管理者」を置いている――
 などの基準を満たす名簿については、「個人情報に配慮している」として市長が「ふれあい安心名簿」に認証する内容です。
 
 2011年度は、小中学校合わせて473名簿が作成され、市の認証を受けた。市総務課は「名簿作りが進めば、地域コミュニティーも活性化する。しっかりと周知を図っていきたい」としているそうです。
 個人情報保護の重要性の上に、お互いの理解と一定の条件や制限の中で、責任ある対応がされることは、一人では生きられない社会にあって全く不自然なことではありません。
 ここを条例としてオープンに、広く周知したことは、大切なことと思われます。法の整合性等にご苦労があったことと思いますし、運用でなんとかするという発想もあったのかもしれません。しかしながら、条例にしたことへの意味を深く感じ入る思いです。