【生活保護】「入りやすい」「出やすい」現代社会の写し絵とも言える生活保護に納得の制度設計が必要。

 社会保障と税の一体改革3党合意について党員支持者の皆様に懇談的にお話し質問の段になると話題となる事があります。
 それは、生活保護の問題です。そして、その中核にあるものは、「年金受給者より生活保護費の方が多額はおかしい」、「生活保護受給しながら車に乗り、遊興している」と言うものです。
 そこで、今一度生活保護について、公明党の考え方を整理したいと思います。
 生活保護とは、そもそも生活保護は、どんな制度なのでしょうか。
 
 それは、憲法第25条に「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に基づき、資産もなく働けない人の自立を助けるのが目的です。最低限の生活維持を助けるセーフティネットです。
 
 その仕組みは、 国の定めた最低生活費から、年金や収入を差し引いた金額が毎月、保護費として支給されるもので、生活保護の支給基準は地域や世帯の状況により異なります。
 そして、その現状は、受給者が過去最多になりました。2012年3月時点で210万人。受給者の増減は景気変動に大きく影響されますが、近年の傾向は世界金融危機以降の景気の低迷に加え、高齢者の増加が背景にあるとされます。失業などによる“現役世代”の増加も目立つなど受給者の内容に変化があります。
 
 生活保護制度はさまざまな課題を抱えています。多くは就業しても薄給で生活できず、生活保護から脱出できない例が多く見られます。本来の趣旨に沿うものです。
 一方で、働いて収入があるのに申告しないなど、不正受給の件数が増えています。良く指摘される問題として、受給者の医療費は直接、行政が医療機関に支払う制度に師弟ながら、この制度を悪用して必要以上に診療を行う過剰診療も問題になっています。
 
 この多くの課題に一つ一つ対応する担当者、受給者を支援したり申請者の資産を審査するケースワーカーなどの人手が足らないことは大きな問題と言えましょう。つまり、行政側もフォローやチェックをし切れないのが実情があります。
 また、真面目に年金保険料を払って国民年金をもらっている世帯よりも、生活保護世帯の方が収入が高くなる事態も起きています。年金世帯が納得し、生活保護世帯も生活していける受給の在り方でなくてはなりません。
 生活保護の問題について公明党は、10年に発表した「新しい福祉社会ビジョン」などで多角的に支援策を訴えています。生活保護制度のあるべき姿について公明党は、「入りやすく出やすい」仕組みをめざしています。単なる「生活保護費の抑制」ありきではありません。
 
 まずは「入りやすい」の政策について。虚偽の申請に対しては今より厳格な罰則を定めた上で、書類審査による短期救済を実現させます。手続きの簡素化も図ります。
 
 その上で、生活保護からの自立を促す「出やすい」部分の施策が、より重要です。具体的には、受給者の自立に向けた職業訓練の充実や働くことの意欲を促すボランティア活動の推奨などが挙げられます。
 働いた分だけ生活保護費は削られちゃう。手元に残るお金は変わらないことが、労働意欲を削いでいるとも言われます。そこで、公明党は就労収入の一部を積み立て、自立時に活用できる制度の導入も訴えています。
 その他、保護が必要な高齢者世帯に対し、自宅などを担保にした生活資金の貸し付けも推進しています。各種支援制度を細かく実施するために相談に乗るケースワーカーの増員も図ります。
 
 更に、生活保護に陥るのを未然に防ぎ、再挑戦できる“トランポリン型”の安全網も、年金・医療、雇用、住宅などで必要です。
 
 公明党は、無年金・低年金対策や高額療養費制度の拡充、最低賃金の引き上げ、低所得者向けの公営住宅の確保にも取り組みます。
 生活保護も大事な社会保障の一環であり、景気と雇用、高齢化に伴う医療と介護、孤立した家族形態等の現在の日本の写し絵とも考えられます。
 生活保護世帯の減少が望まれます。また、納得の制度を再構築する機会であるとも考えます。まずは「入りやすい」、そして「出やすい」制度を整備して参りたいと思います。