先日開催しました県政報告会の中の質問コーナーでは、「税の公平性」についての質問がありました。
この質問の趣旨は、所得課税における公平性が今もとれていないというものです。
例えば、「クロヨン」。いわゆる課税所得に対する捕捉率の業種間格差を指し、給与所得者は約9割、自営業者は約6割、農業・林業・水産業従事者は約4割と言うものです。1960年ごろから言われていますが、近頃は聞かれなくなったように感じます。
また、「クロヨン(9対6対4)」に留まらないとして、「トーゴーサン」と言う給与所得者約10割、自営業者約5割、農林水産業者約3割とする呼称もあるようです。更に、政治家約1割を加えて「トーコーサンピン」と揶揄する場合もあります。
これらは、源泉徴収されている給与所得者から、必要経費を自己申告する事業者を指して、私部分と事業部分の区別曖昧さを指摘するものと言えるかもしれません。赤字の事業者が高級外車に乗っているなどがその実態に即しているかどうか、または合理的な案分にたがえることがないかは、税務署にとっても悩ましいもので、100%の検証は不能とされるものでしょう。
しかしながら、今般の消費税増税の議論の中で、あらためて所得の正確な捕捉を一歩進めなければならないと思います。税の負担増は、各階層の税負担の公平感の上に成り立つからです。
そして、①必要経費の考え方と認定 ②所得控除のあり方と規模 ③累進税率の整備 ④マイナンバー等の所得データ捕捉手法の整備 ⑤税の使い道の開示と理解促進 に当面の課題があると考えます。
消費税の議論は、納税者の意識の高揚に繋がります。言い過ぎなければ、寄らば大樹の影や長いものに巻かれろ的な日本人の意識改革もなしうるチャンスかも知れません。言うまでもな、税こそが国家の本質であり、政治の原点だからです。
税の公平性を担保する手法である「マイナンバー」も、私たちの正しい納税意識の向上が必要です。
そして、何よりも政治が、税の再配分において、国民の信用を勝ち得なければならない事が最も大事なことです。