先日訪れた静岡県で、防災情報ネットワークシステムの整備事業を視察させて頂いたことは報告しました。
この視察の修了時に案内された災害対策本部となる大きな部屋では、災害時さながらの津波対策訓練が、緊迫した様子で行われていました。報道も入り、危機管理監の明確な指示を垣間見ることができました。
お話を伺うと、静岡県民の防災意識は、地震や津波を想定ではなく確実にあるとの前提に高揚されているとの事です。併せて、予防防災の施策を求める声も高まっているとの事でした。
あらためて言うまでもなく公明とは、「防災・減災ニューディール政策」を提言しています。これは、まず第一に「予防防災・減災」が目的です。第二に、「景気対策」があります。世論がとうも社会資本整備や公共事業ということに、いかにも誘導された議論を感じることもあります。
そこで改めて、「防災・減災ニューディール」を考えたいと思います。
それは、第一に「予防保全は、費用対効果に注目すべき」です。
つまり、事前の防災・減災対策こそが東日本大震災に見られた甚大な被害を最小限にできるということです。まさに、老朽化した社会資本整備が急務なのです。国交省は、高度経済成長期に集中整備された社会資本は、建設から30~50年を経過した。道路橋の例で言えば、2010年度は、老朽化橋は8%ながら、20年後は53%に急増することがわかっています。今から老朽化対策しなければならない証左です。まさに、将来の負担を考えた現時点での費用こそが、政策として求められているのです。予防保全の費用対効果が大切なのです。
次いで、大事な視点は、「選択と集中」です。
総務省の試算では、全国の地方自治体が管理する道路橋約65万橋の今後50年間の維持管理費は、約40兆7000億円。これらを予防保全型の維持管理にすれば、約23兆3000億円で済み、単純計算で17兆円強が縮減できるとしています。
国も地方も財政状況は厳しさを増していますが、防災・減災対策は国民の命と財産を守るためにどうしても必要な措置であり、先送りすべきでありません。将来の人口構成や都市づくり変化もあるでしょう。人口動向により、社会資本のあるべき姿は、国も地方も真剣に、安易な予断を持たずに構想していく必要があります。
つまり、「選択と集中」で事業のバラマキ化も防ぎつつ、防災・減災対策を実行することが必要です。選択と集中の決定のために、日本の将来像を明確にしていく。いや、子どもたちに明るい未来のバトンを渡す。安易なバラマキを排していくことが「防災・減災ニューディール」に求められていると確信します。