【景気回復】理論理屈から実感へ。未来志向と眼前の仕事や雇用の両方を勝ち取らなければならない。

 今年、新盆を迎えるご家庭をお伺いしながら、多くの壮年の方とお話をさせて頂きました。
 その中で出たキーワート゛は、「景気回復」でした。これは、「景気回復なくして消費増税はない」と言うことと、「現時点で消費増税は如何なものか」と言うことでした。
 そこで、にわか勉強ですが、マクロ経済の発明者と言われるジョン・メイナード・ケインズ(John Maynard Keynes, 1883-1946)について調べてみたいと思います。
 『雇用・利子および貨幣の一般理論(1936年)』で呈示されたケインズ経済学の革命的要素は、供給が需要を決定するという古典派の『セイの法則』を否定したことにあり、需要が供給を決定するという『有効需要の原理』を確立しました。
 有効需要というのは貨幣を支払って満たされる需要のことを指し、有効需要は『消費・投資・政府支出・純輸出の総和』とされます。
 つまり、『ケインズ経済学』では、政府が経済政策で財政支出をすることによって雇用・景気を回復させることができると考えます。
 ケインズ経済学は、自由放任の競争原理(市場原理)に経済活動を任せておくだけでは、失業問題・景気悪化・格差拡大(購買力低下)を改善することは難しいという考えます。そのため、『財政政策(消費・雇用拡大のための減税・公共事業)』や『金融政策(投資・貯蓄均衡のための金利調整)』によって総需要管理政策を実行することになります。
 景気後退局面の不景気では雇用の需要が減少して、賃金を引き下げても十分な雇用が創出されないケースがあるので、ケインズは必要に応じて失業者の雇用創出のために政府が『公共事業・公共投資』を実施すべきだと主張しました。
 ケインズ経済学(マクロ経済学の原点)は『修正資本主義』とも呼ばれますが、それは自由放任の市場原理(純粋な資本主義)が内在する不況・失業などの諸問題を解決するために、『政府の経済政策(総需要管理政策)』を用いて積極的に介入しようとするからです。
 このように、政府の経済政策の重要性を指摘し、その方法を「財政政策としての公共事業」「減税」「金融政策としての金融緩和」を示しました。一般的に、社会資本投資は政府が、金融緩和は日銀が司る分野です。日本における減税は、どうしても貯蓄に回る割合が高いことが課題のようです。
 なお、日銀は、インフレターゲットとは言わないまでも、1%程度の物価上昇を容認する姿勢と思います。消費税増税までの景気回復目標は、実質2%・名目3%です。この差異1%は少なくとも日銀の政策実行が求められると考えます。
 国民の関心は、景気にあります。もっと言えば「実感ある景気回復」にあります。GDPの数字だけでは、信用されません。作られた数字と考えてしまうほど国民の不信は大きいと言えましょう。だからこそ政治が信頼され、スピード感ある政策展開で、ここからの一年に勝負を懸けなければならないと思います。