社会保障と税の一体改革は、社会保障の全体像を示すことが大前提に検討されることになっています。
それは、社会保障氏とは何かという詳細な点検確認であり、消費税の使途の正統性を明確にするものです。
意外と忘れられがちなものに、「父子家庭に遺族基礎年金」があります。これは、ひとり親世帯の“男女差”を解消 するものに他なりません。
遺族基礎年金が父親(夫)を亡くした母子家庭には支給されるのに、母親(妻)を亡くした父子家庭には支給されない――。
こうしたひとり親世帯の“男女差”を解消するため、10日に成立した社会保障と税の一体改革関連法には公明党の主張を受け、同年金の支給対象に「父子」を加える内容が盛り込まれているのです。
成立を受け、2014年度から遺族基礎年金の支給対象に「父子」が加わる新しい仕組みがスタートします。
ただし、残念ながら、それ以前に母親と死別したケースは支給対象にはならないことを申し添えなければなりません。
遺族基礎年金は、20歳以上60歳未満の全ての人が加入する国民年金制度から支給されています。その対象はこれまで、「子のある妻、または子」に限定され、「父子」は対象外だったわけです。
このため、近年増えている夫婦共働き世帯や母親が生計の中心を担う“専業主夫”世帯などでは、母親が亡くなると収入が激減するにもかかわらず、遺族基礎年金は支給されず、経済的に困窮することがあったことはシ新聞報道等でる知られています。
こうした事態は、東日本大震災の被災地でも数多く見られました。そこで公明党の松あきら副代表は、昨年9月29日の参院予算委で遺族基礎年金を父子家庭にも支給するよう主張し、政府側から前向きな答弁を引き出した。これがきっかけとなり、政府提出の一体改革関連法案に遺族基礎年金の父子家庭への支給が盛り込まれたという経過です。
ひとり親世帯をめぐる“男女差”は、遺族基礎年金にとどまりません。母子寡婦福祉資金貸付金や高等技能訓練促進費事業なども「父子」は対象外。そこで公明党は、こうした格差の解消を求める意見書を全国の地方議会で提案しました。そして、今年3月定例会でこの意見書を採択した市議会は88に上りました(7月15日発行「全国市議会旬報による」)。
NPO法人全国父子家庭支援連絡会の村上吉宣理事は、遺族基礎年金の父子家庭への支給について「非常に大きな意味がある。公明党の国会質問がなければ、政府内での検討テーマにならなかったと思う。取り組みに感謝したい」とした上で、「まだまだ残る母子家庭との格差の解消へ、公明党には国会・地方議員の連携という持ち味を生かし、力を発揮してほしい」と語っています。
このきめ細かさが公明党の社会保障改革推進の方向性です。地方から国をも動かすとは、庶民の苦闘とささやかな願いに応えていくことです。