「国民医療費」が毎年約1兆円増え続け、“自然増”が大きな問題になっています。
厚生労働省の「医療費の動向」調査によれば、2011年度の国民医療費は、前年度より1・1兆円多い37・8兆円となり、9年連続で過去最高を更新したとされます。このまま医療費が増え続ければ、2025年度には52・3兆円に膨らむ見込みです。
国民医療費は、日本国内で病気やけがの治療のために医療機関に支払われた費用の総額で。特に、高齢化の進展や生活習慣病(糖尿病、高血圧症など)の増加、医療技術の高度化などが医療費が増える原因となっています。
なかでも、高齢化に伴う医療費の増加は著しく、11年度の医療費37・8兆円のうち、70歳以上の医療費は17兆円に達し、全体の45%を占めました。しかも、70歳以上の一人当たりの年間医療費は80万円を超え、70歳未満の4・5倍にも上っているとの調査です。
しかしながら、これは裏を返せば、日本が世界に誇る「国民皆保険」が機能している証拠と言えましょう。保険証一枚で誰もが医療機関を自由に選択でき、一定の負担で高水準の医療が受けられる。その結果、日本は世界トップクラスの長寿大国となったのです。
問題なのは、近年の社会環境や食生活の変化に伴って、糖尿病や高血圧、心臓病、脳卒中などに代表される生活習慣病の増加に有効な対策が遅れがちなことと言えます。
このような疾病構造の変化を考え、病気の予防や早期発見への取り組みを強力に推進し、自立して健康に生活できる「健康寿命」を延ばしていくことが極めて重要です。
このため厚労省は、来年度からの国民の健康指標「健康日本21」の中に健康寿命を指標の一つとして盛り込ました。糖尿病や高血圧といった生活習慣病を発症しないためにも、運動習慣の定着や禁煙、食生活の改善などで、健康寿命が平均寿命の伸び幅を上回ることをめざすのが狙いです。
公明党の医療政策は、この「予防重視」が基点です。
ヒブワクチンや子宮頸がんワクチンなどの定期接種化の取り組みも、その一つ。
また、来年度からの「がん対策推進基本計画」に喫煙率4割減の目標を盛り込ませました。喫煙は、がん原因のトップで、ほかにも脳卒中や大動脈瘤など、さまざまな疾患を引き起こすからです。
疾病予防や健康増進に真剣に取り組むことで、国民の健康寿命は延び、結果的に「医療費の適正化」にもつながると確信します。