【3定一般質問】防災情報は、県民の命と財産と絆を守ります。県の主導による市町村連携のネットワークを期待します。

 一般質問の最後は、防災減災の基幹をなす情報ネットワーク再構築に対するものです。
 従前に先進県である静岡県の防災情報所管部を訪問し、巨大地震が予想される静岡の対策を視察して参りました。
 そして、あらためて情報収集と伝達の重要性とあり方を学び、茨城県における情報システムの早期整備を求めるものです。
 本年度は調査費が計上されてます。問題はこれからです。本当に役立つシステム構築を求めたいと思います。
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☆八島功男議員
 最後に,防災情報ネットワークシステム再整備の推進についてお伺いいたします。
 県は,本年度,同事業に対する基本構想策定のために1,700万円を予算化し,先ごろ発注したと聞いております。現行の防災情報ネットワークシステムは,新築された県庁舎とともに運用を開始し,既に13年が経過,老朽化による障害の発生頻度が増加しております。
 例を挙げれば,長期化した障害として,「約40日間の衛星放送全不通」「30日間の県西地域の地上無線回線の全不通」などがあり,これらの障害が現行システム全体の老朽化の氷山の一角ではないかと憂慮する状況にあります。また,この13年間の情報通信技術の飛躍的な向上は,現行システムの陳腐化とともに交換部品の供給途絶という事態にあります。
 私たちは,昨年3月11日の東日本大震災に被災して,迅速で正確な情報が私たちの生命と財産を大きく左右することを実感いたしました。また,情報の有無や適否が県民の心と行動を左右したことも承知しております。県民が求める正確でタイムリー,信頼性ある情報収集と情報提供のためには,運用するソフト面の充実もさることながら,災害に強く情報集約の許容度の高いハード面の整備そのものが大変重要であります。
 この再整備事業は,災害時における情報通信のあり方を検討することはもちろんのこと,今後の情報ネットワークインフラの将来像を追究することになります。当然,相応の計画的な整備期間と大きな金額の事業費になることが想定されます。それでも,情報が茨城県の防災体制の基幹となり,災害に対する行政のレスポンスを高め,一刻を争う人命救助に資するとすれば躊躇せずに資金を投入すべきではないでしょうか。
 体系化されたネットワークの視点は,まずは「信頼性の確保」であり,災害に強いネットワーク回線とは「複数化ルート」と「回線種別の信頼性」です。衛星回線と光ケーブルなど地上回線の2ルート化が必要であると考えます。
 次いで,「技術革新への対応」であり,デジタル化にほかなりません。デジタル化は,情報量を飛躍的に増加させることができるとともに,汎用性の高さから映像や音声をデータとして一体的に取り扱えるようになります。県と市町村などが積極的に利用することができれば,全県的な整備として,災害時における情報収集伝達体制の強化を図れると考えます。
 ネットワークを支える設備の中でも,即応性のある防災ヘリからの映像が有効だったことは言うまでもありません。災害情報を把握するには映像で確認し,災害を目の当たりに見る目が重要です。また,可搬式の通信機器は,災害現場からの情報を届ける手足として重要です。
 このほか,避難所,病院など,より被災者に近いところでのネットワークの構築をすることや,県民へ十分な情報伝達手法を講じることが大切であると考えます。
 一方,地図情報と連動した被害情報や避難経路,交通情報等が避難には有効であること,情報提供はだれもがわかりやすい様式を用いることや,被災後の迅速な被災者対応のために被災者支援システムを導入することなどについて,各市町村に働きかけることを含めて,関係部局において検討することを要望するところです。
 情報ネットワーク整備は,多岐にわたる拡張性があります。だからこそ,ネットワークを構築する基軸の思想性が大事であると考えます。命を守る,弱い立場の方を守り抜くとの信念で整備計画を進めていただきたい。
 ついては,茨城県防災情報ネットワークシステム再整備事業の構想,今後の取り組みについて泉生活環境部長の御所見をお伺いいたします。
 この項目の質問は以上です。
 
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○泉生活環境部長 
防災情報ネットワークシステム再整備の推進についてお答えいたします。
 現在の防災情報ネットワークシステムは,衛星回線と地上回線の2ルートにより,県と市町村,消防本部,県出先事務所,防災関係機関などを結んで構成しており,電話やファクシミリ機能のほか,警報・注意報などの気象情報や災害情報の収集,伝達に活用しております。
 このネットワークシステムは,さきの東日本大震災においても固定電話や携帯電話がつながりにくい中,おおむね有効に機能したところでございます。
 しかしながら,近年,議員御指摘のとおり,老朽化に伴いネットワークシステムそのものの機能を維持し続けることがだんだん難しくなってきております。
 また,機能上も,衛星・地上回線ともアナログ回線で通信速度が遅く,災害現場の映像や多人数の同時通話などの大容量の情報の送受信には耐えられないことや,接続したい防災関係機関の増加に対応できないなどの課題が出てきております。
 このため,今年度,新しい防災情報ネットワークシステムの構築に向け,基本構想の策定に着手したところであります。基本構想の策定に当たり検討すべきことといたしましては,1つには,最新の情報通信技術を導入して,できるだけ安価に高性能のシステムを構築することであります。音声や文字,映像などの情報をデジタル化し,高速で大容量の情報を送受信できる光ケーブルには,いばらきブロードバンドネットワークの活用を検討いたします。また,将来の情報通信技術の進展にも対応できるよう検討してまいりたいと考えております。
 2つ目として,信頼性の確保があります。衛星回線と地上回線をともにデジタル化して相互補完させることはもちろん,物理的に1つの回線が被災しても,他の回線で補完可能であったり,停電時の電源確保など,震災経験を踏まえた災害に強いネットワークとしてまいりたいと考えております。
 さらに3つ目として,ネットワーク構成機関の追加及び機能の拡充が上げられます。例えば接続する病院をふやし,さらに救急車と新たに接続することにより,救急車から病院への連絡が携帯電話を使わなくてもできるようにすることや,現場可搬型設備の配置,あるいは要援護者などの行政情報や地図情報を扱うシステムとの接続,さらには他の防災関連システムとの連携などについても検討してまいりたいと考えております。
 今後は,議員の御提案も参考とさせていただき,市町村や関係機関の御意見をいただきながら,今年度中に基本構想として取りまとめ,来年度以降,計画的に整備ができるよう取り組んでまいります。
 県といたしましては,災害から県民の生命と財産を守り被害を最小限に抑えるために,防災活動の基幹である防災情報ネットワークシステムが,いかなる災害が発生した場合でも,情報の迅速かつ的確な収集,伝達の機能が発揮できるよう十分に検討を行い,システム再構築に努めてまいります。