今年、3度目の茨城県議会決算特別委員会委員に指名されています。
「決算」という言葉は、私にとって重みのある言葉です。それは、決算から何を学ぶのかという事に他なりません。銀行時代の言う「決算」と、地方公共団体の「決算」は大きく違いがあると考えます。一方は、利益の追求としての成績を表し、一方は税の再分配の効果的で適確な活用を指すものと理解しています。
それでも、飛躍して言えば、固定費は義務的経費であり、変動費は投資的経費とも考えられます。毎年急速に増大する社会保障経費、確実に迫りくるインフラ更新など予想される資金負担と至近調達をどう対応するかが最大の課題です。
私は、決算を重要視して、予算に繋げたいと願っています。単年度主義に課題があるとすれば決算の分析検討の中で課題を解決していきたい。例えば、継続する事業(例えば、講演会開催など)は、今年の講演会開催の主旨や目的、なぜこのテーマなのか、なぜこの講師を選んだのか、繰り返すことで事業の更なる進展や高度化につながったのかを聞いてみたいと思うのです。現状は、残念ながらそのようにはなっていません。
それゆえ私は、決算といわゆる行政審査を一体化してはどうかと考えています。これは議会の問題と考えますから、議会の改革が必要なのかもしれません。
そんなことを考えて、今年の決算特別委員会最終日の総括審議に臨みたいと思っています。
以下は、3年前の決算特別委員会の総括質疑での私の質問と執行部答弁の議事録です。当時、県議2年目の経験浅い私の発言です。もしお読みいただく方がおられれば笑ってご覧ください。
八島功男平成24年決算特別委員会総括質疑での質問と執行部回答
2012.12.18 : 平成24年決算特別委員会 本文
◯八島委員
私自身としては,2年連続で決算特別委員会に参加させていただいて,また,今回のいろいろな状況を踏まえながら,決算の審議についての全般的なことでお伺いをしたいと思っております。
地方自治法で,決算については,第5節第233条の5において,書いてあるとおりですけれども,決算を議会の承認に付するに当たっては,当該決算に係る会計年度における主要な施策の成果を説明する書類,その他政令で定める書類をあわせて提出しなければならないとだけ位置づけされていることは,御承知のとおりのことでございます。
その意味で,配付され手元にございます主要施策の成果に関する報告書がそれでありますし,その報告書の冒頭には,知事の名前で,成果に加えて予算執行の実績について報告するとしているわけでございます。その書いてあるとおりにこの決算特別委員会が開催されているということは,全くそのとおりだろうなと思っております。
ただ,私自身は,いろいろな意味で会計制度についてお話をしたりしてございますので,民間的な発想を持って新しい決算のあり方というのも模索してはいかがだろうかと,こういう思いを持っているところでございます。
そこで,一つ提案でございますし,あわせて御質問していきたいと思います。
私自身は,ここで言う決算を,成果や実績計数は年度末を指すことはもちろんであるけれども,その年度末時点にとどまらないで,各課,各事業を年間ベースで年初計画と年度末を時系列的に比較してはいかがだろうかと,このような思いがございます。
その意味で,具体的に何点か思うことを申し上げたいと思います。
まず,1つ目は,各部各課が第1回定例会に常任委員会に提出する事業計画概要について,これを主要施策の成果に関する報告書の事業名と一致させて整合させる,こういう必要があるのではなかろうかと思ってございます。
2番目に,各事業が当該年度における新規なのか継続なのか,または拡大,縮小なのか等の明確な表示をしていただきたい,このようにお願いするところです。
3番目には,予算額には財源を簡潔に明示して,年初予算と補正によるプラス,マイナス等があるわけでございますけれども,そういう予算上の年間の推移を明確にしてはいかがだろうか,こう思っております。
4番目に,前年の予算,決算計数を明示して,単年度主義ではありますけれども,事業の継続性,また優先度合い等を判断できるような形にしてはいかがだろうか,このように思っています。
5番目には,決算審査の観点から,決算額の内訳として,これはなかなか難しいことではございますけれども,人件費と物件費,固定費と変動費,このような大枠の区分というもののを表示できるような工夫をしてはいかがだろうか,このように思っています。
6番目に,事業の成果は,執行部が言うところのPDCAによる事業展開があるわけでございますので,それに基づいて総括された記述があってはいかがだろうか,このように思うところでございます。
そこで,決算特別委員会は,決算を通して,予算執行,事業執行に関する結果と課題を議会と執行部が共有し,決算計数の質疑から,事業執行の見える化及び優先順位,事業の継続性について質疑,答弁をもって県民のため決算と予算との能動的な,また効果的,効率的な会議にしていきたいなと,こう思っているところです。
以上,概括的にと言いながら,細かに述べたわけですけれども,ここでお伺いしたいのは,主要施策の成果に関する報告書のあり方について,ざっと述べましたけれども,今の私の意見ですけれども,聞いていただいた感想についてお伺いをしたいと思います。
◯藤原総務部財政課長兼行財政改革・地方分権推進室次長
ただいま主要施策の成果に関する報告書について,あり方について,執行部の考えということで御質問いただいたところでございます。
委員御指摘いただきましたとおり,この報告書につきましては,自治法の233条の5項の規定に基づいて作成をしているというものでございますが,この書類が提出されている,その義務づけられている趣旨といたしましては,議会における決算審査が単なる数字を審査するということにとどまらず,事業の成果についてきちっと積極的に検討していただくという趣旨でつくっていると考えているところでございます。
こうした趣旨を踏まえまして,本県におきましては,この報告書については,県の総合計画であります3つの目標を着実に進めると,そういう重要な政策の柱がございますので,その3つの柱を設定した上で,各部門ごとにどういったものをのっけるかというところを判断していただいているところでございます。
また,6点ほど御提案等いただいたところでございますけれども,この報告書につきましても,これまで決算特別委員会での御意見なども踏まえまして随時見直しをしてきたところでございます。今いただいた中で,様式の変更,例えば当初予算の額を入れるといったようなこと,様式で対応できるものもあれば,様式自体は変更しなくても,各部局の方に書きぶり,まとめていただくときに工夫をしていただくことで対応できるものもあると思っております。また,人件費,物件費などについては,長期的な課題になってくるというものもあろうかと思いますけれども,この様式などにつきましては,しっかり御意見なども踏まえまして見直しを検討はしていきたいと思っております。
◯八島委員
ぜひ私の趣旨をとらえて,改定というふうには申し上げませんけれども,やはり決算のあり方というのは重要だと,僕自身の経験を踏まえて改めて申し上げたいなと思っています。
それでは,次の質問にいってしまいますけれども,この主要施策の成果に関する報告書が,県が毎年実施しているいわゆる政策評価制度とどういう整合性があるのか。また,どういう役割があるのかということについてお伺いしたいと思っております。
私自身は,この報告書並びに政策評価制度,これが一体的に対応してもしかるべきではなかろうかと思っているところであります。それは,ある意味,政策評価委員会が提出した政策評価の方が,予算と実績についてわかりやすいように思えるということも1つの原因でございます。そして,なおかつ事業の評価について,自己評価という言い方ではございますけれども,ランクづけがされております。これはわかりやすいと思います。
ランクづけと決算は違うという意見もあろうかと思いますが,どちらかというと総花的になっている報告書の中身からいけば,随分切り込んでいるなと僕自身は評価しておりますので,ある意味一体的にしても決して間違いではないと思っているところです。
政策評価制度については,平成9年の県議会の行財政改革調査特別委員会で提言されて,それ以降こういう制度ができたと承知しているところでございますけれども,僕自身はその当時いたわけではありませんが,せっかくここまで来たものを議会が手放してしまったのはちょっと残念だな,ちょっと取り戻したいなと,こう思っているところでございます。
そういうことで,今,執行部におかれて,政策評価と,この主要施策に関する報告書についての位置づけをどのように考えるかについてお尋ねしたいと思います。
◯小松原理事兼政策審議監
主要施策の成果に関する報告書の位置づけは,先ほど財政課長の方から申し上げたとおりでございますので,政策評価の位置づけでございますけれども,以前は平成13年度から政策評価は導入してございます。
当時は事務事業の評価と言いまして,2,000ぐらいの事業について,3年ぐらいかけまして1本ずつ評価をしていました。今は,県計画をベースに置きながら,県計画に位置づけられた12の政策と,施策は72本ほどございますけれども,12のプロジェクトの施策と,それにぶら下がっている事務事業ということで,たしか361事業ぐらいだと思いますが,それについて各部各課で評価をして,ボトムアップで積み上げて,全体の政策評価の定量的な分析も含めまして評価をしているという状況でございます。これはとりもなおさず位置づけについて申し上げれば,要するに次の政策,政策事業をどうつくり込んでいくか,PDCAサイクルを確実にするための一手法ということとあわせて,県民の方々に説明責任ということで,説明を十分にさせていただくということを目的に立てているものでございます。
この両方とも連動させてはどうかという御提案だと思いますけれども,ただいま申し上げましたように,現在の政策評価,361の事業が一番の底辺でございまして,この主要事業に関する報告書というのは,それ以外の,かなり詳しく先生方に見ていただくために具体に記載がされているものだと認識をしてございます。
そういった意味で,我々はもうちょっと定量的な部分で,この主要施策に関する報告書を形づくるというのは,先ほど御提案いただいた6つの点を踏まえながら総務部の方で検討していくものだと思いますけれども,我々もこの政策評価をベースにしながら,この主要施策の方にどう反映できるものなのか,それを今後総務部と一体的になって検討してまいりたいと考えております。
◯八島委員
前向きというとらえ方をしていいのかどうか,今の答弁ではちょっとわかりかねますけれども,要するに,違うものだということが前提にあって,そしてその上でそういう発想も入れるのかなというとらえ方をさせていただきました。
ただ,報告書のあり方も,地方自治法にのっとった形ですけれども,体裁が決まっているわけではありません。決してこの形がベストだということではなかろうと思っているところですので,簡潔にする部分と,しっかり丁寧に説明する部分というめりはりはあってしかるべきだろうと思います。
また,政策評価におけるものが,総括的に一覧表とか,A3判で折り込みになっているとか,冒頭に入っていても,それは何ら決算を妨げるものではございませんので,そのようなことを工夫しながら決算と予算の連動性を図っていく,また,単年度ではないんだということから,複数年度,事業の継続性,優先度合いというものをもっと決算の側面からもわかっていきたいなと思っているところです。そんな感想を持ちました。
最後は,要望といいますか,これは本来は委員会マターではないのかなと思っていますけれども,他県とか他行政では,決算と行政評価を一体化した委員会の設置がございます。例えば決算行政評価特別委員会などというのがございまして,そのような委員会等に改編していくということも,これから議会の課題ではなかろうかなと思っているところです。
現実的に,この特別委員会の設置期間,また審議手法,また先進地視察等,いろいろなものについていろいろな課題がこの委員会でも出てまいりましたけれども,そのようなこともあわせて,これは議会マターでありますのでここで言うべきかどうかは別としても,お話をさせていただいて,私の質問を終わりたいと思います。