空き家を活用し低所得者に提供、家賃補助最大45万円、新たな住宅セーフティネット制度が今秋開始。

 

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 国土交通省は高齢者や障がい者、子育て世帯などのうち、住宅を確保することが困難な人たちを支援するための新たな住宅セーフティーネット(安全網)制度を2017年度に創設する。増加する民間の空き家・空き室を活用し、家賃補助や家賃債務保証の支援を通じて、円滑な入居を促す。今国会で関連法案などを成立させ、秋ごろから実施する見通し。
 人口減少や高齢化に伴う世帯数の減少で全国の空き家は約820万戸を数え、そのうち賃貸住宅は約429万戸に上る。一方で地方自治体の公営住宅については応募倍率が高く、全国平均で5.8倍、東京都では22.8倍に達するなど、公営住宅に入居できない世帯が多い現状がある。
 新たな住宅セーフティーネット制度は、地方自治体に専用住宅として登録された空き家・空き室に高齢者らが入居する際、国などが最大月4万円を家賃補助する内容で、対象は月収15万8000円以下。賃貸契約の際に必要な家賃の債務保証料も最大6万円補助し、家賃の半額程度とされる保証料の負担を軽減する。
 また、円滑な入居を促す支援策として、NPO法人や自治体、不動産関係団体らで構成する居住支援協議会の機能を拡充。NPO法人などを居住支援法人として新たに指定し、住宅情報の提供や入居相談とともに、家賃の債務保証を支援する。受け入れる家主に対しては、耐震化に向けた改修などで1戸当たり最大200万円を補助。住宅金融支援機構(JHF)の融資も受けられるようにする。
 公明党は07年、高齢者らに安定的な住宅の提供をめざす「住宅セーフティネット法」の成立に尽力。法律成立後も、党プロジェクトチームが地方自治体の取り組みを調査するなど、制度の拡充を訴えてきた。
 昨年1月には参院本会議で秋野公造氏が、空き家を活用した低所得世帯向けの住宅について「安定的かつ必要な戸数を供給できるよう、法制度化を見据えた取り組みが必要」と主張。昨年11月の参院厚生労働委員会では山本香苗さんが居住支援協議会に言及し、「生活支援の視点が欠けていて、個別支援に結び付いていない」と述べ、協議会の機能強化を訴えていた。