銀行カードローン貸付過剰は、利用者の生活破綻を助長す。金融の本義に立ち返ろう。

銀行の個人信用融資は、個人情報を集約するセンター照会により実行されている場合が多い。

銀行は、個人の与信極度残と利用残高を知ることができるがゆえに、一定のロスを前提に、利息収入とを比較して与信判断していると言えます。

つまり、個人責任のもとで、個人の金融破綻と銀行利益を図りながらリスクを取るという算段をしているとすれば、これは如何だろうか。

金利があまりにも低位である現在、個人融資はそれをバーする営業政策であることは間違いありません。

しかしながら、返済能力を超えた融資がダメなことが分かっている銀行が、分かりながらダメな道を推し進めているとすれば、いつの日か銀行の有り様が問われて、自らがリスクとなる道を歩むのではないかと思ってしまいます。

24付けの公明新聞のコラムから、感じたことです。

(北斗七星)

◆年収の3分の1以上、借り入れている利用者が30%。うち13%は2分の1を超えている。会社員なら、返済するのが困難な状態に違いない。全国銀行協会が昨年末に実施した調査によって、銀行カードローン利用の実態が、明らかになった

◆一方、自己破産の申し立て件数は、改正貸金業法の成立・施行など、消費者金融に対する規制強化によって減少してきたが、2016年は13年ぶりに増加に転じた。この間、銀行カードローンの貸し付け残高は急増、最近5年間で約1・7倍の5・7兆円に膨張。過剰な貸し出しへの批判が高まった

◆改正法成立の06年当時、5社以上から借り入れている多重債務者は200万人に迫っていた。改正のポイントは、上限金利の引き下げと、他社の分も含めた貸し出し総量を年収の3分の1以内に抑えること。利用者の返済能力を超えての貸し出しを禁止することが主眼だ。規制に及び腰な主管官庁などを、公明党が強くリードした経緯もある

◆当時、銀行は、貸し出し審査体制が十分だということで規制の対象外になったが、利用者の生活破たんを助長するようなあり方が許されるはずはない。昨年来、批判に応えて自主的な是正が進められている。改正法の立法趣旨にのっとった姿に立ち返ろうとする取り組みの行方を注視したい。