【茨城県議会一般質問】八島功男議員がレジリエンス思考による県有資産のあり方を知事に質問

2020年9月15日、茨城県議会一般質問が行われ、県議会公明党の八島功男議員が登壇しました。
八島議員は、ウィズコロナのキーワードは回復力や復元力を表わす「レジリエンス」であるとし、「レジリエンスのいばらきづくり」を標榜して、大井川知事、教育長、担当部長に4つの項目から質問しました。
この動画は、「レジリエンス思考による県有資産のあり方について/集客施設とROA(資産利益率)の視点と課題」について、大井川知事に質問した内容です。
なお、撮影に際して、コロナ対策のために、壇上にアクリル板が設置されておることから、反射やピントのズレが起こっています。ご容赦下さい。

【八島功男議員の質問】
新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた皆さまに哀悼の意を捧げ、今なお感染症と闘われている皆さまにお見舞いを申し上げます。さらには、昼夜を分かたず新型コロナウイルス感染症に立ち向かわれる医療従事者や介護従事者の皆さま、そして日常を支えるエッセンシャルワーカーの皆さまには心からの敬意と感謝を申し上げます。
歴史を振り返れば、人類は感染症との戦いの連続でした。天然痘やペスト、コレラ、スペイン風邪も正体不明の感染症として蔓延しました。近年ではSARS、MERSなどであり、その背景には、人類の「環境破壊」や「グローバリゼーション」があるとの指摘があります。
昨年来、私たちは感染症から人類の生存を掛けた戦いを挑まれています。この「挑戦」を受けて立ち、「応戦」するため、私たちは、「新しい日常」を、利他の精神と共生の心で、創造していかなくてはなりません。
私は、この壇上から幾度もSDGsを訴え、サスティナブル(持続可能性)を追求する政策展開を提言して参りました。そして、今回は未曽有の新型コロナウイルス感染にあたり、キーワードは回復力や復元力を表わす「レジリエンス」でないか、「困難から立ち直るしなやかな力」こそが重要なテーマと考え、「レジリエンスのいばらきづくり」を標榜して質問して参ります。知事はじめ各部部長には県民に元気と勇気を与える答弁を期待したいと思います。

レジリエンス思考による県有資産のあり方について
●集客施設とROA(資産利益率)の視点と課題

初めに、レジリエンス思考による県有資産のあり方について、まず集客施設とROAの視点と課題を知事に伺います。
県有施設をはじめ、公共施設には様々な役割がありますが、集客を目的とするか否かで大きく二つに区分できます。集客施設の例として、文化や芸術を体感できる美術館や博物館、自然を体感できる自然公園や水族館などがあります。これらは、その地域の特徴を表すものとして、民間施設を補完し、互いに地域の魅力を高めるものとして県内外から観光客を集める施設です。
現下のコロナ禍では、県内経済の活力が奪われ、観光業界とともに、こうした県有施設も大きな打撃を受けました。来年度以降の税収は厳しいものがあると予想されます。私たちは、さらなる選択と集中の施策展開を決定していかなくてはなりません。人の移動や集会が制限される現状においては、未来に持続可能な集客を目指し、今まさに、県有施設のレジリエンス(回復力、復元力)の力が試されています。
大井川知事が令和2年当初予算編成に際し開催した記者会見から論を進めます。記者からの質問は、県の集客施設についての知事の問題意識と展望を問うものでありました。知事は、企業経営で言われるPOE(資本利益率)とROAを示して、「県のROAという観点からすると、県は、いろいろな施設を持っている割には、それが活きていないのではないかという素朴な疑問を抱いている」と述べ、「本来、大きな集客をすることを狙ってつくったはずのさまざまな施設があまり集客の効果を上げていない」と指摘して、「予算的にも常に赤字になっていて、県の一般財源からその補填を繰り返している」「それが当然だと思われている施設がほとんどだと言っても過言ではない」と鋭く問題意識を開陳されました。
私は、この考え方は重要であると思いますが、文脈にある知事の思いが「集客とは利益計上と採算性の源泉」であり、「常態化している赤字補填は許されない」とすれば、その視点と課題のうえで「集客など行政運営のベネフィット(利益)とは何か」や「赤字体質の原因は何か」の分析を示して頂きたいと思います。そのうえで県有資産所在地の地域性に配慮し、地域経済に貢献するための運営方針を、県有資産の収益性向上の取組みの中から策定し、「公共の利益の最大化」を目指すべきだと申し上げます。
大井川県政の3年を経て、知事の地域活性化への取組みは、敢えて言えば、ROAの視点から県有資産のあり方を検討し、フラワーパークリニューアル事業や偕楽園月池地区整備事業、大洗水族館にジンベイザメを展示する新館整備事業などに積極果敢に取組むことと拝察します。今定例会に提出された砂沼サンビーチ跡地利用調査も同様でしょう。赤字体質からの脱却は重要です。集客確保を目指す事業は、レジリエンス思考の果実として県民に還元されなくてはなりません。一方で、採算性の低い施設について,民間活力の導入も含めた利活用をどのようにお考えでしょうか。
ついては、県有施設や資産の有効活用を推進するとの観点から、ROAの視点と課題について大井川知事のご所見を伺います。

大井川和彦知事の答弁

【大井川和彦知事の答弁】
八島功男議員のご質問にお答えいたします。
レジリエンス思考による県有資産のあり方についてお尋ねをいただきました。
集客施設とROAの視点と課題についてでございます。
県の集客施設につきましても、新型コロナウイルス感染症対策に伴う外出自粛要請や休館、休園措置等により、集客や収益の面で大きな影響を受けたところであります。
そのような中、各施設におきましては、「新しい生活様式」に対応した感染防止対策に留意しながら、来場者の回復に努めているところでございます。
現在も、都内を中心に、引き続き多数の感染者が出るなど、予断を許さない状況でありますが、コロナ禍にあっても、集客施設が十分にその役割を果たしていくためには、新型コロナウイルスを取り巻く状況の変化にいち早く対策を講じ、安心して来場していただける環境を整備していくことが不可欠であります。その上で、施設の魅力向上に積極的に取り組み、集客の更なる拡大を図っていくことが重要であると考えております。
このため、「見るから感じるフラワーパーク」をコンセプトとした、県フラワーパークのリニューアルの実施や、県植物園及び県民の森について、民間のアイディアを活用した魅力向上策の検討などを行うこととしております。
また、偕楽園周辺の魅力向上に向け、パークPFI制度を活用した事業を導入するとともに、アクアワールド茨城県大洗水族館を、夜も楽しめるようリニューアルに取り組んでいるところであります。
このように、県の集客施設について、戦略的に集客の拡大に取り組んでいるところでございますが、これまで、既存施設の運営につきましては、投資による集客により、どのような経済効果を上げているか、という視点が必ずしも十分ではなかったものと認識しております。
他方、民間企業におきましては、資産が利益獲得のためにどれほど効率的に利用されているかを示す指標として、ROAといった指標が用いられているところですが、県有施設の魅力向上のために、新たな投資を行う際にも、投資効果を十分に見極めることが重要であると考えております。
また、県有施設には、その施設の特性上、必ずしも県外からの大規模な集客が見込まれず、投資回収が困難な施設も存在しますが、これらの施設におきましても、投資効果を踏まえつつ、例えば、県立図書館においては、施設内にカフェスペースを設置することにより、魅力の向上が図られ、より多くの方々の利用が促進されるものと期待しております。
さらに、県有施設を効率的・効果的に運営する観点からは、民間のノウハウや創意工夫を積極的に取り入れる視点が重要であり、指定管理者制度やPFIの活用など、民間活力を有効に活用してまいりたいと考えております。
県といたしましては、ウィズコロナの時代を見据え、県の集客施設がそのポテンシャルを最大限に発揮し、県内外からより多くのお客様に訪れていただけるよう、一層の魅力向上に努め、収益性についても十分に意識しながら、これまで以上に有効活用が図られるよう取り組んでまいります。