産後うつ、虐待防止、母親の検診費用助成。子育て支援に切れ目なく。

 

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 母子の健康と子どもの健やかな成長をめざし、公明党が進めてきた妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援について、厚生労働省は2017年度から新たな事業を実施する。
 産後うつ予防などの観点から出産後間もない産婦の健診費用を助成するほか、先天性の聴覚障がいの早期発見に向けて新生児聴覚検査の推進体制を整備する。いずれも17年度予算案に必要経費が盛り込まれた。
 出産後の母親が育児への不安や重圧などによって精神的に不安定になる産後うつは、新生児への虐待を招く恐れもある。こうした事態を防ぐには産後2週間や1カ月などの時期に産婦健診を行い、母体の回復や授乳の状況、精神状態を把握して適切な対応を行うことが重要とされる。
 新たな助成事業は「産後ケア事業」を行う市区町村が対象で、健診1回当たり5000円を上限に2回分まで助成する。助成にかかる費用は、助成事業を導入する市区町村と国が半分ずつ負担する。
 産後ケアは、助産師ら専門家による母体・乳児のケアや育児相談・指導などが受けられるサービス。施設への宿泊や日帰り利用、自宅訪問型などの形態がある。16年度は全国1741市区町村のうち180ほどの自治体が実施。17年度予算案では、これを240自治体へと広げるための予算が計上されている。
 一方、新生児聴覚検査の推進体制整備では、都道府県が同検査について、関係機関による協議会を設けたり、研修会の実施や普及啓発に取り組んだ場合、国が経費の半分を負担する。
 新生児の聴覚障がいは1000人に1〜2人の割合でいるとされるが、早期発見と適切な支援により影響を最小限に抑えることができる。しかし、検査の実施主体である市区町村のうち、検査結果を把握できているのは15年度で68・8%、初回検査の公費負担を実施しているのは6・8%にすぎず、地域間格差の解消が喫緊の課題となっている。
 このため厚労省は、今回の事業を通して都道府県が市区町村の取り組みを支援することで、域内全体の底上げにつなげたい考えだ。
 公明党はこれまで、国会質問などで産後うつ対策の強化を粘り強く主張。新生児聴覚検査の体制整備についても、山本香苗参院議員が地方議員の声を受け、予算案への計上を推進した。