公明党党都本部と都民ファーストは、東京改革へ政策合意し、防災、福祉、教育など35項目の実現に挑みます。小池知事は、「公明との協力、心強い」と述べ、公明党の都政運営や議会運営の頭脳に期待を寄せました。
公明党東京都本部の中島よしお代表代行(都議会党議員団長、都議選予定候補=北多摩3区)と、小池百合子知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」の野田数代表は13日、都庁で記者会見し、7月2日投票の都議選(定数127)で、それぞれの予定候補者を相互推薦することを発表した。ここでは都議会公明党(東村くにひろ幹事長、同=八王子市)と都民ファーストが10日に締結した政策合意も公表した。会見の後、中島都代表代行は東村幹事長らと都内で、小池知事と会談した。
会見で中島都代表代行は、選挙協力に至った経緯について、これまでの定例会本会議における公明党の質問に対し「知事の答弁は誠実で真摯なものだった」と説明。来年度予算案に公明党が要望した私立高校授業料の実質無償化をはじめ、鉄道駅のホームドア増設、女性の視点を重視した防災対策など、数多くの提案が盛り込まれたことなどを挙げ、「政策面での一致が明らかになった」と強調した。
また、「(政策協議を通じ)知事や都民ファーストとの信頼関係が醸成され、知事からも『都議選を一緒になって協力して戦いたい』との話もあった」と言及。その上で、「東京改革や、五輪・パラリンピックの成功、防災・減災対策、福祉先進都市、人づくりの教育など10分野、35項目で政策合意を取り交わし、選挙協力を行うとした」と述べた。
都民ファーストの野田代表は、公明党の政策提言や予算要望などについて「私たちの発想にはなかった有意義な提案を数多く示され、大変参考になった」と評価。私立高校授業料の無償化に関しては「公明党の具体的な政策提言を受けた上で、予算案に盛り込んだ」と述べた。
さらに議会改革でも、議員報酬削減や政務活動費の全面公開など「公明党がリードした」と強調。「小池都政が掲げる改革と方向性が完全に一致した。今後、公明党には都政の頭脳としての力を借りたいと考え、政策、選挙協力で合意した」と語った。
公明党は都議選に向けて、既に21選挙区で23人の予定候補を公認している。相互推薦で公明党都本部は、候補を擁立しない選挙区で都民ファーストの予定候補を推薦し、都民ファーストは公明党の全予定候補を推薦する。
一方、小池知事との会談では、中島都代表代行が「野田代表と共に、正式に選挙協力、相互推薦を発表した。力を合わせて、都議選でいい結果を出せるようにしたい」と語った。
これに対し、小池知事は、これまでの経緯について野田代表から報告を受けたとした上で、「都民ファーストの都政を確実に前に進めるためにも、都議会が新しく、よりグレードアップして進んでもらえることは、都知事として非常に重要なことであり、今回の政策合意については心強いことだ」と強調した。
また、「政策は実行して、幾らという話だ。必ず一つずつ現実のものになるように、都議会と都知事がしっかりタッグを組んで(挑みたい)。非常に貴重な、この合意をしっかり受け止めさせていただきたい」と力説した。
その上で、都議選について「素晴らしい都政を、車の両輪として動かせるように(公明党と都民ファーストの会が)それぞれ頑張っていただきたい」と述べた。
会談には、都議会公明党から、たちばな正剛政務調査会長(都議選予定候補=板橋区)、まつば多美子副幹事長(同=杉並区)、都民ファーストの野田代表が同席した。
自公 国政では揺るがずと、斉藤選対委員長が表明。
国会内公明党の斉藤鉄夫選挙対策委員長は13日夕、国会内で東京都議会公明党と小池百合子知事が率いる「都民ファーストの会」との政策合意発表を受け、記者団に対し、大要次のような見解を述べた。
一、今回の政策合意は、東京都限定の局地的なものであり、国政での自公の信頼関係は揺るがない。大阪府や広島県などでは国政と県政の枠組みが違う。全ての地方議会が国政と同じ枠組みでなければならないということではない。
一、(政策合意に至った経緯について)公明党が都議会改革や私立高校の授業料無償化などを積極的に提案したことに対して、小池知事から真摯な対応があり、一つ一つ政策が実現した。その中で信頼関係が醸成され、政策の方向性が一致するならば、都議会で多数派を形成し協力していくことを確認するに至った。
都議会公明党と「都民ファーストの会」の政策合意 全文
都議会公明党と「都民ファーストの会」は、共通する政策目標である「新しい東京」の構築に向けて、協力して政策実現に取り組んでいくことを確認し、以下の項目について合意した。
東京改革
・都民優先の政策を都政の基本に据える
・都政安定への努力を共有する
・東京の経済、産業の持続的発展を進める
・情報公開を今後も徹底して進める
・都民目線に照らして不自然、不合理、不経済な行政慣行を見直す
東京オリンピック・パラリンピック
・大会の成功に向けて東京、日本全体の機運醸成を進める
・経費節減に不断の努力を行う
・世界から集う選手、役員、観光客等への「おもてなし」を具現する
・パラリンピック成功へ細心、最大の配慮を行う
・被災地の復興と共にある大会であることを名実ともに標榜する
防災・減災対策
・人命尊重を第一に、救える命は一人でも多くの命を救う対策を講じる
・大規模地震と大規模水害の双方に備える施策の充実を図る
・電線類の地中化を強力に推進する
安全・安心のまちづくり
・都市インフラの計画的な設備更新と長寿命化を推進する
・街や建物のバリアフリー化、鉄道駅のホームドア整備を強力に進める
・防犯カメラの整備等により、安全・安心のまちづくりを強化する
少子社会対策・子育て支援
・「子どもは未来の東京の宝」を政策理念に据えて政策を構築する
・安心して産み、育てられる東京へ、子育てを社会で応援する支援策を質量の両面にわたり重層的に講じる
高齢社会対策
・医療と介護の連携の強化や、高齢者の社会参加の促進などにより、数値目標を掲げて、健康寿命の増進や介護状態の改善を図る
・在宅と施設の双方にわたる支援策を充実させ、都民の介護不安を軽減する
・認知症の予防策を強化し、発症者とその家族の負担を社会的に緩和する
福祉先進都市
・障害の特性に応じた合理的な配慮の充実に向け、都が率先垂範するとともに、社会全体で補い合う施策を推進する
・障害者の外出、社会参加意欲の増進、権利擁護の充実を図る
・貧困の連鎖を断ち切る施策の充実を図る
環境・エネルギー先進都市
・世界をリードするスマートエネルギー都市の実現をめざす
・水と緑豊かな生活環境の整備と先進的な環境技術の活用により、ヒートアイランド現象からの転換を推進する
・3Rの推進、食品ロス対策、都市鉱山の活用など「もったいない」を体現する都市像を世界に示す
人づくりの教育
・家庭の経済力の差を補完する政策を展開し、教育を受ける権利、教育を選ぶ自由を具体的に保障する
・生活力を養うキャリア教育と他者への思いやりを育む体験学習を推進する
・先進技術や国際化などに対応する人材育成とすべての子供に正当な自己肯定感をもたらす教育の両立を図る
・幼児教育の充実を図り、「義務化」を先取りする都施策を推進する
その他
・ライフ・ワーク・バランスを尊ぶ観点から、住宅政策を重視する庁内体制を確立する
・同じ観点から労働政策の充実を図るとともに、女性、高齢者、障害者など、あらゆる人々の活躍、自己実現に結び付く政策を多面的に展開する
・多文化共生、相互理解、情報バリアフリーなど絆を育む政策を重視する
・動物愛護の観点から、殺処分ゼロ、災害時のペット同行避難を推進する