霞ヶ浦の新しい価値創造について
(1)触れて感じる「美しい霞ヶ浦」
霞ヶ浦の新しい価値創造について伺います。まず、触れて感じる「美しい霞ヶ浦」についてです。
この質問項目は、本年第1回定例会の一般質問と同様であり、テーマもまた「今こそ、私たちは霞ヶ浦のために何ができるかを問いかけよう」であります。
これを踏まえて、今回は、湖水に触れて感じる親和性の高い「美しい霞ヶ浦」について伺います。
「霞ヶ浦が美しくあるため」の第1は、水質の改善であることは論をまちません。生活排水対策をはじめ、流域からの汚濁負荷削減のための思い切った政策を県は国と協議し、協調して実行していただきたい。
さらに、霞ヶ浦の特徴である「広く浅い湖」の生態学的特性の研究と理解を進め、例えば、強い風が起こす波浪については懸濁物や有機質残渣の湖岸への打ち寄せが水質改善に寄与することを知るべきです。
そして、霞ヶ浦の湖水に県民が触れることができる里浜の復活や造成に取り組まなければならないと考えます。
霞ヶ浦流域は24市町村にまたがり、90万人を超える県民が暮らしています。流域面積は約2,157K㎡で、湖の面積の約10倍の地域から川の水が流れ込んできます。
このことから、霞ヶ浦は汚れた水が集まりやすい湖といわれています。この汚れの主なものの一つは生活排水であることは言うにおよびません。流域に暮らす県民の意識改革も必要です。さらに、家庭と霞ヶ浦を繋ぐ河川もまた霞ヶ浦を汚さないための適正な管理が必要です。ぜひとも河川幅を拡張し、遊水池機能を付加し、河川における水質改善機能強化を検討していただきたいと考えます。
「美しい霞ヶ浦」の第2は、沖から沿岸へ至る連続性ある景観の自然美の復活ではないでしょうか。コンクリートの堤防を壊し、除去することは、できようはずがありません。しかし、堤防と湖水の沿岸に多少の波浪にも流されることない強い砂浜を造成し、その後背湿地にアシ原を育成することなど霞ヶ浦の自然浄化機能の強化は、県の強い意志と決定があれば国の理解を得られると考えます。
9月1日は、「霞ヶ浦の日」です。本年は、「霞ヶ浦の日」の制定の基になった「茨城県霞ケ浦水質保全条例」が1982年に施行されてから40周年の佳節です。霞ヶ浦の恩恵が当たり前になった今、再び霞ヶ浦の新しい価値ある歴史を刻むためにも、県民を霞ヶ浦の湖岸に引き戻し、触れて感じる「美しい霞ヶ浦」をつくることが重要であると申し上げたいと思います。
そこで、触れて感じる「美しい霞ヶ浦」をつくるため、今後どのように取り組んでいくのか、知事のご所見を伺います。
(2)レンコンの消費拡大に向けた品質向上
次に、霞ヶ浦流域にあって日本一の生産量を誇るレンコンの消費拡大に向けた品質向上について伺います。
霞ヶ浦流域は、湖岸の柔らかく保水性が高い土壌と、豊かな水の恩恵のもとで日本一のレンコンの産地となりました。今も作付面積と出荷量は増加していますが、産出額は緩やかな減少傾向にあります。
県の行ったレンコンの産地振興で出色であるのは、優良系統の選抜と種バスの増殖であると考えます。品種のイノベーションがなければ市場に飽きられ、消費者が離れていきます。そこで、今後、レンコンの消費を拡大し、産出額を向上させるためには、次のような他産地との差別化の取組に期待したいと思います。
まずは、「おいしさの見える化」です。レンコンの品質特性を、数値により客観的に評価し、データで示すことで、本県産レンコンの特徴と他産地に対する優位性を明らかにし、商品性の向上に取り組むとともに、味覚により「官能評価」し、言葉で表現することも有効だと思います。本県産レンコンは、「シャキシャキ食感」という特徴がありますが、レンコンの部位により、食感などが異なることから、部位別の特性も明らかにする必要があると考えます。
次に品質保持と販売方法の多様化です。レンコンはカットすると断面が酸化し鮮度が落ちていくことから、多くは3節・4節が連結で箱詰めされ市場に出荷されますが、スーパー等では1節ごとにカットし、パッキングして販売する方法が一般的です。現在は真空パック詰めにして酸化を防ぐ方法など、品質保持の技術が発達していると聞いており、食味の解析と併せて、優良な食材として消費者に届ける工夫が一貫して必要だと考えます。
さらに、これらの取組により、産地全体を支援することと併せて、先進的な農業者に焦点を当てた支援も必要であると私は考えます。私の知り合いの生産農家は、糖度10の甘いレンコンの生産に挑戦して、「スウィートレンコン」や「フルーツレンコン」など、糖度を高めたレンコンの商品化を考えております。
このように、レンコンの品質向上は、夢と希望のある本県農産物の推進力になると考えます。
そこで、生産農家の現場のアイデアをくみ取りながら、霞ヶ浦の恩恵であるレンコンの消費拡大に向けた品質向上にどう取り組むか、知事のご所見を伺います。