認知症の人や家族の視点を重視した地域づくりについて伺います。
認知症は誰もがなりうるものであり、多くの人にとって身近なものです。認知症施策の基本は、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会を目指すことであります。その実現のためには、認知症の人や家族の視点を重視しながら、「共生」と「予防」を車の両輪として施策に取り組んでいく必要があると考えます。
公益社団法人認知症の人と家族の会の鈴木代表理事は、「認知症は身近になり、自分事として、いずれは自分や家族が認知症になるかもしれないという不安が募ってきている」「認知症になったら大変という思いから予防への関心は増大している」「さまざまな支援サービスは充実してきたが、依然として介護家族は孤独を感じ、心身の疲労と認知症の人への愛情のはざまで苦しんでいる」と述べています。
認知症は、認知症の人とその家族の2つにダメージを与えます。認知症は病気として発症し、その家族は、仕事や生活と介護の両立に悩みます。両立の困難さは、自分以外に介護する人がいない、介護のために仕事の責任が果たせない、先の見通しが立たない、などの点にあります。法律上、介護休業や介護休暇を与えることは事業主の義務であるものの、令和3年版厚生労働白書を見ると、例えば介護休業の取得率は、1%程度とのデータがあります。
このような困難さを抱えるのが、認知症の人の家庭の日常と言ってもよいと考えます。認知症対策は、認知症の人のことだけを考えるのではなく、その家族をも含めて行わなくてはなりません。そのためには、地域住民と認知症の人とその家族が一緒にまちづくりをしていく必要があります。
本県では、茨城型地域包括ケアシステムの中で、認知症の人とその家族、そして、認知症ではない高齢者全てにやさしい地域づくりを進めていっていただきたいと考えます。その実践として、地域が「ピアサポート」の力を発揮すべきと申し上げます。認知症の人を支え、支えながらもその家族も自分の人生を歩むことができる、認知症対策を求めます。
ついては、県として認知症の人や家族の視点を重視した地域づくりをどのように推進していくのか、知事に伺います。