霞ヶ浦・北浦の資源保護、漁業者所得の向上を

全国有数の漁獲量を誇る湖沼の再生へ――。茨城県は本年度から、霞ケ浦北浦で減少傾向にあるワカサギやシラウオなどの資源確保と漁業者の所得向上をめざし、未利用外来魚の有効活用やシラウオのブランド化に向けた取り組みを進めています。

■この40年間でワカサギ漁獲量1000トン→34トン
霞ケ浦北浦のワカサギは、江戸時代には将軍家に献上されたほか、1995年には「茨城県の淡水魚」に選ばれるなど湖のシンボルになっています。しかし、農林水産省の統計によると、80年代には年間1000トンを超えることもあった漁獲量が、2021年には年間34トンまで落ち込んでいます。
漁獲量が減少している要因の一つに、アメリカナマズによる食害があります。また、アメリカナマズだけでなくハクレンなどの外来魚が大量に繁殖したことによる生態系の変化が指摘されています。水揚げされる外来魚は、いずれも市場価値がない「未利用魚」であり、焼却処分するなどしか方法がなく、漁業者を悩ませている問題です。長年、霞ケ浦で漁を続けている漁業者は「年々、ワカサギの漁獲量が減っている。それに反して外来魚がよく捕れるようになった」と現状を語ります。

■厄介な外来魚を飼肥料に/シラウオのブランド化も
こうした現状を打開するため、県は未利用外来魚の活用に向けた調査・実証実験に乗り出しました。まず、本年度はハクレンなどの魚粉を数パターン試作し、作りやすさや成分を分析。他地域の事例も参考にしながら、高騰する農作物の肥料のほか、コイやテナガエビ養殖の飼料として活用することを想定しています。
一方、ワカサギと並び霞ケ浦北浦の名産とされるのがシラウオです。2021年には全国2位の水揚げ量を誇り、「霞ケ浦のダイヤモンド」とも呼ばれています。県はシラウオのブランド力向上を図るため、通常なら捕獲後にその名の通り白くなってしまう身を、透明なまま管理する鮮度向上技術を開発。漁業者への技術講習を行いながら、商品規格の設定や料理店を対象にしたモニター調査を実施するなど、トップブランド創出に力を注いでいます。
県霞ケ浦北浦水産事務所の担当者は「“厄介者”の外来魚を生かすことや、これまで捕ってきた魚の付加価値を高めることで、漁業者の収入増が期待できる」と語っています。
 
■八島功男議員は資源保存と活用、環境保全を推進してきました
霞ケ浦北浦の環境保全に関して、茨城県議会公明党の八島功男県議が議会質問などを通して生態系維持などの取り組みを一貫して推進してきました。
今年3月の定例会では、アメリカナマズによる食害対策やシラウオのトップブランド化の重要性を訴えました。