茨城県は本年度、八島功男議員の議会質問に答える形で、霞ケ浦北浦の外来魚などを魚粉化して飼肥料をつくる実証実験を実施しています。八島議員は、行方市の漁業関係者と意見を交わしました。
北浦では、名産のワカサギやテナガエビの漁獲量が年々減る一方、ハクレンやアメリカナマズをはじめとする外来魚が増加し、食害や生態系の変化が起こっています。ハクレンなどは食用に向かず利用価値の低い「未利用魚」であるため、焼却などで処分するしか対策がありませんでした。
1984~86年まで毎年1000トンを超えていたワカサギ漁は近年不漁が続き、2021年は35トンまで激減しています。加えて、テナガエビも不漁で、漁業者は大きく収入を減らしています。こうした状況を背景に、霞ケ浦・北浦の漁業就業者数は2008年の725人から2013年には518人に減り、2018年は326人と10年間で半数以下に落ち込みました。
こうした状況を打開しようと、県は当初予算に1100万円を計上し、地元漁協に委託する形で、養殖用飼料工場での魚粉試作・成分分析を実施する調査・実証試験を行っています。
①ハクレン(小魚を含む)②アメリカナマズ③未利用魚全般――の3パターンの魚粉を製造し、それぞれ有効成分などを測定。その結果を基に飼料や肥料などの活用策を検討していくことにしています。
さらに、血液や血管を健康な状態に保つエイコサペンタエン酸(EPA)や、脳の働きを活発にするドコサヘキサエン酸(DHA)などの含有量も把握します。
霞ケ浦で長年、テナガエビなどの漁を続けてきた皆藤勝さんは「漁に出ると、エビの2~3倍の未利用魚が捕れていた。これまで使い道のなかった魚に少しでも価値が付けば、生活の足しになる」と事業の進展に期待を寄せました。
八島県議はこれまで、霞ケ浦の環境保全や生態系の維持を一貫して推進。今年3月の定例会ではアメリカナマズによる食害問題を取り上げるとともに、漁業振興を訴えていました。