福島水素エネルギーフィールド、大熊町立「学び舎ゆめの森」、福島第一原発を現地調査

八島功男議員をはじめとする茨城県議会公明党議員会は、2月15日16日の両日、県議会会派による県外調査を行いました。今回は、3・11東日本大震災からの復興が進む福島県内を現地調査しました。

まず15日、福島県浪江町の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)を訪問しました。
FH2Rは、NEDO、東芝エネルギーシステムズ(株)、東北電力(株)、岩谷産業(株)が、2018年から福島県浪江町で建設を進めてきた、再生可能エネルギーを利用した世界最大級となる10MWの水素製造装置を備えた水素製造施設です。
この施設は再生可能エネルギーなどから毎時1,200Nm3(定格運転時)の水素を製造する能力を持ち、電力系統に対する需給調整を行うことで、出力変動の大きい再生可能エネルギーの電力を最大限に利用するとともに、クリーンで低コストな水素製造技術の確立を目指しています。
また、製造された水素は、定置型燃料電池向けの発電用途、燃料電池車や燃料電池バス向けのモビリティ用途などに使用される予定です。

同じく15日に、大熊町立「学び舎ゆめの森」を訪れました。
「学び舎ゆめの森」は、福島県内外に避難していた子ども達の受け皿として、義務教育学校(小学校と中学校の一貫校)と認定こども園を併設して誕生しました。各学年10名の少人数制で、一人ひとりの特性に合わせた指導、毎週金曜日は5年生から9年生が自分たちで時間割を決める、演劇を採り入れて自己肯定感や表現力・協働力・創造力を養う、哲学対話を通して、自ら考え、対話する力を育むなど、先進的な教育が実践されています。
三角形のフレームの組み合わせで生まれる自由な形状の校舎は、図書広場を中心に放射状に教室が配置されています。校舎内外には数多くの遊具や工夫された椅子が配置され、子どもたちの遊びと探究心を育む空間となっています。音楽室には屋外ステージを併設し、地域住民も利用できる空間となっています。

翌16日には、東京電力廃炉資料館および福島第一原子力発電所を現地調査し、廃炉事業の進捗状況などを確認しました。福島第一原発で現在行われている廃業作業は、当初の計画から大幅に遅れており、未だに出口が見えません。
事故では1号機から3号機がメルトダウンし、格納容器内に燃料デブリとなって残されました。極めて強い放射線が出ていて人が近づけず、政府と東電は最長40年ですべて遠隔で取り出すことを、廃炉の目標に掲げています。
東電は令和5年度中に行うとしていた、2号機でのロボットアームによる燃料デブリの試験取り出しを断念しました。当初より3年遅れとなる今年10月までに別の方法で行うことにしました。
また、事故対策の中で発生した処理水の海洋投棄が、昨年から始まりました。
130万t以上が1000基のタンクにたまり、取り出したデブリの保管場所確保のためにもタンクの撤去が必要となっています。今年度中にタンク30基分が放出されますが、元となる汚染水も発生し続けていて、実際に減るのは10基分にとどまることから、現状の処理水を処分するためには、単純に計算すると100年以上も掛かってしまうことになります。

茨城県議会公明党議員会は、今後も廃炉作業の進捗状況を注視し、県民の安全と環境保全に最大限配慮していくよう、東京電力や関係者に働きかけていく所存です。また、処理水の海洋投棄を巡る風評被害や外国の輸入禁止問題などにしっかり対応していきます。
さらに、東海第2発電所の再稼働の課題も抱えています。よりよい結論が出せるよう、議論を一層進めてまいります。