茨城県の物流の現状と課題を有識者より聴き取り/第4回交通政策・物流問題調査特別委員会

8月28日、第4回交通政策・物流問題調査特別委員会が開催され、県議会公明党を代表して八島功男議員が出席しました。

この日の委員会は、流通経済大学・流通情報学部教授の大島弘明氏、一般社団法人茨城県トラック協会から会長の小倉邦義氏を招きし、それぞれ 「物流における商慣行の見直しと荷主・消費者の行動変容」、「運送事業者の視点に立った物流の現状と課題」について、説明を聴取しました。また、「商慣行の見直し」、「荷主・消費者の行動変容」について説明を受け、質疑を行いました。

茨城県の物流を取り巻く現状は、多くの課題と変革の機会が交錯する中で、今後の発展と持続可能性を模索しています。委員会の資料から、茨城県の物流の現状と課題について、県内のデータや国の動向を基に整理してみます。

まず、国内における貨物輸送の主役はトラックであり、茨城県においても例外ではありません。令和3年度の統計によれば、国内貨物の総輸送量の約9割がトラックで運ばれています。しかし、国内全体で見ても、貨物1件あたりの平均重量が過去30年間で約3分の1に減少している一方で、物流件数は大幅に増加しています。これにより、小口多頻度配送が進み、物流効率が低下していることが指摘されています。

茨城県の物流においても同様の課題が見られます。県内の貨物運送事業者は、主に関東圏内の近距離輸送に依存しており、その多くが片道450km未満の運行を主としています。この近距離輸送の多さは、物流の効率化に課題があることを示唆しています。また、県内の物流事業者の数は微増傾向にありますが、依然としてその大部分が中小企業で構成されています。

さらに、2024年には「働き方改革関連法」の適用がトラック運送業界にも及び、労働時間に対する規制が強化されます。これにより、運転者の拘束時間が制限され、輸送能力が大幅に不足することが懸念されています。特に茨城県内では、帝国データバンクが実施した調査により、7割の企業がこの規制によりマイナスの影響を受けると予想しており、物流コストの増加や人手不足の悪化が深刻な問題として浮上しています。

このような状況下で、県内物流の持続可能性を確保するためには、物流の効率化とともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が急務となっています。例えば、バース予約・受付システムの導入により待機時間を短縮する取り組みや、AI点呼ロボットによる運行管理者の負担軽減などが、国土交通省によって推進されています。茨城県も、こうした国の施策に呼応して、中小物流事業者への支援を強化し、業務効率化を図る取り組みを進めています​。

最後に、物流業界全体が抱える「2024年問題」に対応するためには、荷主や消費者の行動変容も不可欠です。茨城県では、持続可能な物流構築に向けたセミナーを開催し、関係者間の意識改革を促進する取り組みを進めています。このような取り組みを通じて、県全体が一体となって物流の効率化と持続可能性を追求していくことが求められています。

茨城県の物流を取り巻く環境は、現状の課題に対処しつつ、未来を見据えた改革が必要です。持続可能な物流システムの構築に向け、県内企業や住民が共に取り組むことが、今後の鍵となるでしょう。