「災害の被害を最少に、災害関連死ゼロを目指す避難所運営について」八島功男県議会議員の代表質問

2024年9月10日に行われた茨城県議会の代表質問では、県議会公明党を代表して八島功男議員が質問を行いました。 八島議員は、大規模自然災害時の避難所運営について大井川和彦知事に質問しました。
避難所のTKB(トイレ、キッチン、ベッド)などの環境改善、自治体の避難所運営マニュアルの整備など、災害の被害を最少に、災害関連死ゼロを目指す避難所運営について質しました。

時間や場所を問わず、免れがたい自然災害。私たちは、災いと災いのあいだ「災間」に生きています。災害による直接死などをどこまでも最少にし、さらには発災後の関連死ゼロを目指す避難所運営こそ最重要と考えます。

東日本大震災の災害関連死は、津波被害を除くと65%の方が、そして、熊本地震では犠牲者の8割が災害関連死でした。能登半島地震でも約300人が犠牲になっていますが、すでに認定された方を含めて200人以上が災害関連死の申請をしています。
私は、災害は完璧に防げなくとも、災害関連死は、皆で一丸となって取り組めば防ぐことができると確信しています。
国土強靭化基本計画には「避難生活における災害関連死の最大限防止」の文言が書き込まれました。避難所運営の責任を担うのは市町村ではありますが、避難所環境の水準は県全体として均一であるべきであり、県の助言と支援が必要です。県が常にブラッシュアップした情報を更新し、模範のモデルケースを示すことが肝要です。

それでは、避難所環境の改善には何が必要でしょうか。一般社団法人「避難所・避難生活学会」の植田代表理事は、「命を守るTKB48」を訴えています。
まずは、「清潔で安全なトイレ(T)」です。汚い・臭いトイレは使用忌避となり、飲水抑制につながることで身体機能を低下させます。和式トイレを高齢者が使用するのは困難です。移動可能なトイレトレーラー車両を県が配備することを要望します。
次は、「適温でおいしい食事を提供するキッチン(K)」です。避難所の食事は、どうしてもおにぎりや菓子パンなどの炭水化物に偏りがちです。ビタミンやタンパクが減少すると、生活不活発病となり、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。多様な食事が提供できるようキッチンカーの配備も大切です。
3番目には、「熟睡できるベッド(B)」です。ダンボールベッドが認知されるようになりました。プライバシーを守るパーテーションとの併用をしたいと思います。体育館の床に雑魚寝して低体温症となることは避けなければなりません。
そして、これらのT・K・Bは、48時間以内に避難所に配備されることを目指したいと思います。
避難所は生活の空間です。暑さにせよ、寒さにせよ、空調設備なしでは生活ができません。指定避難所等への空調設備設置を加速化して頂きたいと思います。その空調設備稼働の前提は電源です。避難所においても非常用電源の設置を、高齢者施設や医療的ケア児のための電源確保と同様に推進して頂きたい。
避難所には、時間の経過とともに、高齢者や要配慮者が留まります。福祉的支援の比率が高くなります。私たちは、避難所の生活環境の向上に向け、人道対応に関する「スフィア基準」を参考とした取組や女性の視点を活かした避難所運営を実行しなければなりません。

さて、避難所運営の大きな課題は、自治体のマンパワーの不足にほかなりません。行政は、まずは災害そのものに対峙しなければならず、公助の限界を感じざるを得ません。被災地にあって、数多くの特色と実践力があるボランティアを結集できるかが行政に問われています。時にプロフェショナルであるボランティアの方が、より良い、高度な避難所等の支援ができると思われてなりません。
国が、直近の地方自治法の改正の中で、新たに「指定地域共同活動団体」を創設し、自治体との連携を展望していることからも、多様な主体との連携は重要な視点といえます。
市町村は、「市町村避難所運営マニュアル」を策定し、避難所運営の訓練も実施していますが、県の助言と支援が必要なことは明白です。マイナンバーカードのスマホ搭載も推進したいと思います。避難所へのチェックイン、誰がどこにいるか、健康保険証と連動すれば「被災者カルテ」の作成も可能です。各種の情報をプッシュ方式で伝えるICT活用が重要だと考えます。
避難所運営は、絶対に災害関連死を出さないという覚悟が重要です。避難所のハード面、ソフト面で数多くの課題があります。県が率先して避難所運営の先進事例を構築していってほしいと思います。

これらを踏まえ、災害の被害を最少に、災害関連死ゼロを目指す避難所運営について知事の御所見を伺います。