「ジェンダー平等社会を構築するための取組について」八島功男県議会議員が代表質問

2024年9月10日に行われた茨城県議会の代表質問では、県議会公明党を代表して八島功男議員が質問を行いました。
八島議員は、ジェンダー平等社会の構築に向けた取り組みとして、多様性・公平性・包摂性(DEI)を推進する重要性を訴え、性的マイノリティの権利保護に関する具体的な施策を提案しました。
さらに、男性の生きづらさに対する支援策やジェンダー平等の推進についても質問し、社会全体での意識改革の必要性を強調しました。

(1)DEI、Diversity(多様性・ダイバーシティ)・Equity(公平性・エクイティ)・Inclusion(包摂・受容性・インクルージョン)の茨城県をつくる

いっそうの確たるジェンダー平等社会を構築するための取組について伺います。

初めに、「D&I、多様性と包摂性(ダイバーシティとインクルージョン)」に、「E、公平・公正性(エクイティ)」を加えた「DEI」との考え方により、「すべての人に公正な機会を与えることで、人々が不当に偏った状況におかれることなく、多様な背景を受容できる茨城県の実現」について申し上げます。
ダイバーシティ(多様性)とは人材の多様性です。それは、視覚的に捉えられる違いである年齢や性別、民族、人種という表層的な次元から、外部から観察しにくい違いである性格や価値観、態度などの深層的な次元を含むものです。
エクイティ(公平・公正性)は、多様性を受容する社会にある「不均衡」を是正しようというものです。女性活躍推進の文脈で登場する「壊れたはしご」は、最初から女性は男性と同じスタートラインに立てていないとの考え方です。まさに、イクオリティ(Equality:平等性)ではなく、エクイティ(Equity:公平性)の思考が大切であることを理解すべきです。
インクルージョンは、多様な人材がそれぞれありのままの姿で受容されるということです。そして、これらはSDGsにとっても重要な目標であることは言うまでもありません。

D&IからDEIへ、とは、「ジェンダー平等」社会の確実な進化です。私は、県総合計画の「活力があり、県民が日本一幸せな県」の理念の次なる新しい発展の鍵がここにあると提言します。
ついては、本県にジェンダー平等社会を構築するためには、DEIの茨城県をつくるべきであると考えますが、知事の御所見を伺います。

(3)性的マイノリティの人権を守り多様性に寛容な茨城づくり

次に、長崎県大村市が同性カップルに対して、続柄の欄に「夫(未届)」とした住民票を交付したことについて伺います。

住民票における同性パートナーの続柄は、「同居人」「縁故者」などと記載することが一般的とされます。大村市は、この男性カップルの関係は、2人が同市のパートナーシップ宣誓制度に登録していることを踏まえ「内縁の夫婦に準ずる」と判断したものです。
同時に、園田大村市長は、記載は「自治事務として市の裁量の範囲内で対応」と会見し、「一般的な事実婚という認識はない」とも述べ、事実婚の異性カップルと同様に権利を保護するかどうかは個別の判断ともしました。
総務省は、本事案の妥当性を問われ、「社会保障の窓口で当該住民票の写しの続柄のみで適用の可否を判断できなくなり、実務上支障がある」と回答しました。この続柄「夫(未届)」の対応は、今後、広がってくるとの報道もあります。
知事は、本件について、定例会見の記者の問いに、「パートナーシップ宣誓制度と基本的に方向性は同じ方向を向いているので、大いに歓迎したい」と述べ、国に対しても「前向きに検討してほしい」と結びました。
また、広島高裁は、女性として生活するトランスジェンダーが戸籍上の性別変更を求めた家事裁判の差し戻し審で、事実上強制していた「外観要件」に関して違憲の疑いがあると判断しました。
変更を断念するか、体にメスを入れるかの「二者択一」を迫り、人権の観点から批判の根強い外観要件についての適切な司法判断と考えられます。
さらに、最高裁は、男性から性別を変えた40代の女性と、自身の凍結精子を使って生まれた次女との間に、法的な親子関係が認められるかが争われた訴訟で、女性を「父親」と認めました。
このことはトランスジェンダーが子をもうける際のハードルの1つがなくなり、選択肢の広がりとなったものです。

本県は、知事のリーダーシップで「いばらきパートナーシップ宣誓制度」を全国に先駆けて創設しました。国は、昨年6月に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」を遅ればせながら施行しました。性自認や性的指向の多様性はますます拡大していくと考えられます。
ついては、知事の目指す性的マイノリティの人権を守り多様性に寛容な茨城づくりについて、知事の御所見を伺います。

(4)男性の生きづらさ・男性のジェンダー平等への取組

次に、OECDの「幸福度白書」により、世界の傾向として、日本の男性の幸福度が女性より低いとの報告を踏まえて、男性の生きづらさ・男性のジェンダー平等への取組について伺います。
笹川平和財団の「新しい男性の役割に関する調査報告書」によれば、日本の男性の多くが「仕事では競争に勝ちたい」、「男は妻子を養うべき」と答えており、いまだに家父長的な「男らしさ」を支持しています。内閣府の「性別による無意識の思い込みに関する調査研究」でも、女性の約5割が「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」と回答しています。このほか、男性という固定観念などにより生きづらさを感じる男性が多いという意識調査の結果もございます。
男性の生きづらさを解消する方法には何が必要でしょうか。まずは「男性として高く評価されたい」という承認欲求の基準を下げることです。さらに、強い自分もいれば、弱い自分もいるという男らしさの一貫性に固執しないことです。そして、これらの解決にはカウンセリングが重要です。
茨城県ダイバーシティ推進センター「ぽらりす」には、「女性のための総合相談」や「女性のための法律相談」のほか、性別を問わない「ダイバーシティ相談」も開設されているものの、令和6年3月の内閣府の男性相談員による「男性相談」の設置は報告されていないようです。
是非とも本県においても、男性相談窓口の開設と男性相談員の任用とカウンセリングスキルの向上を県事業として実施して頂きたいと考えます。
ついては、男性の生きづらさ・男性のジェンダー平等への取組について知事に伺います。