八島功男の代表質問/2022年9月議会/中高一貫教育校における教育と学校経営の現状と今後

中高一貫教育校における教育と学校経営の現状と今後についてお伺いいたします。
私事ではありますが、私は、53年前の1969年に東京都小平にある私立の中高一貫教育校に入学し、寮生活を経験しました。私自身が中高一貫教育の経験者であります。何も分からず中学校受験をし、高校受験はしておりません。高校1年次には、入学選考を経た100名が加わり、学年が300名になりました。経験則ではありますが、高校1年次の成績分布は、学年のトップは中学からの入学者、次に高校からの入学者が成績順位を占め、次の塊に中学からの入学者となるサンドイッチ状態であったようです。私は、受験勉強をすることもなく、図書館で本ばかり読み漁っていたことが懐かしく思われます。わが母校は、愛情を惜しみなく生徒に注ぎ、最高の学習環境を用意して与えて下さったと、今も感謝に堪えません。

さて、令和3年度までの県総合計画における「新しい茨城」づくりの柱のひとつに「新しい人財育成」を掲げ、その中核に中高一貫教育校の設置を進めてきたと理解しているところです。

私は、中高一貫教育校の設置のねらいにある地域課題の解決等を通じた探究的な学びによる「起業家精神」の育成に注目し、「地域の中の学校」に期待を寄せたいと思います。そこで「地域の中の学校」の意義と目標について、中高一貫校だからできる具体的な教育の実装を伺います。
いよいよ、中高一貫教育校となって最初の年に高校に入学した生徒が卒業を迎え、最初の成果が試されます。日本の未来を担い、世界に羽ばたく起業家精神を学んだ一貫校生の卒業進路に期待が高まります。さらには、時を置かずに中学から入学し6年間の中高一貫教育を経験した卒業生も輩出されますが、それぞれ卒業進路についてどのような成果と期待をお持ちでしょうか。
中高一貫の特色を考えるならば、6年間の一貫教育のみの中等教育学校が望ましいとも感じますが、いかがでしょうか。

県内各地には、人口減少に伴う児童生徒の減少による複式学級等の解消を企図して小中一貫校、いわゆる義務教育学校の設置が数多く見られます。小中一貫と中高一貫は、いわゆる中学校が重複する制度として各地に存在することになりますが、結果として県立と市町村立との学校間格差の懸念はないのでしょうか。そして、県教育委員会として、これらの連携や整合性をどのように捉えているのでしょうか。

さらに、「県立高等学校改革プラン」の中核となる特色ある県立中高一貫教育校の設置が、廉価な教育費用負担と学力格差の解消、学力水準の底上げという公立学校の役割と整合するかについても心配しています。また、私学教育との適切な関係性を維持していけるのかについても同様に考えます。

本県の「県立高等学校改革プラン」に基づく中高一貫教育校の設置は、子どもたちの受験機会の多様化を進め、県立、市町村立、私立が切磋琢磨して次代を担う「人財」育成のイノベーションであると考えます。その改革の一つである公募校長による学校マネジメントにも期待が高まっています。公募校長の登用には、多くの期待が寄せられているに違いありません。どうぞ適切な裁量権と各校の伝統ある教育方針の共有をお願いしたいと思います。

今回、私事も踏まえて、数多くの質問を申し上げました。教育は、人間を完成させる芸術ではないかと考えています。

以上を踏まえ、本県の教育への期待と注目が高まる今、今後、県立中高一貫教育校における教育にどのように臨み、どのように教育行政に活かしていくのか、教育長のご所見を伺います。